反日デモの再燃は? 強まる国内監視と自己検閲

井上キャスター:
過去に起きた最悪のケースを見てみますと、2012年、日本が尖閣諸島を国有化したことで日中関係が大きく悪化しました。中国各地では反日デモが起き、日本車販売店では車が放火されました。

このとき、中国政府の日本への渡航自粛要請で、2012年の訪日客数は前年比で25.1%も減りました。リスクとして、同様の事態が起きる可能性もあるということです。

ですが、中国としても「このときのようなことは起こしたくない」という思いもあると思います。現在の状況をどう捉えていますか?

東京大学大学院 阿古智子 教授:
2012年の反日デモのときは、非常に多くの人が街頭に出て、日本に対して抵抗するような動きを見せました。同時に、集団で何か訴えるということは、中国政府にとっても恐ろしいことだということで、今の中国の他の政策に対して不満を持っている人が違うプラカードをあげることもありました。

今回の場合は、同じように大人数が街頭に出て反日デモをするということは、まずないのではないかと思っています。

出水麻衣キャスター:
自粛要請をしてるというようなところですと、中国国民の温度感も、中国政府としては冷静に見ているということですか?

東京大学大学院 阿古智子 教授:
今の中国の情勢は、政府から何か指示をされたとき、それに従わないと、「政治的に正しくないと言われるのではないか」という風潮があります。

例えば、職場でも監視されているような状況があって、「本当は自分は行きたいけどもやめておこう」というような人もいるかもしれない。

井上キャスター:
中国国民も中国政府からプレッシャーを受けているところもあるということですか?

東京大学大学院 阿古智子 教授:
監視システムや自己検閲をしなければいけないという雰囲気が、2012年のときよりも強くなっています。