島根県松江市では本格的に活動を始めたヒーローがいます。その名も「住警器マン」。いわゆる"中の人"を務めるのは現役の消防士、活動を続ける背景には忘れられない、あの大火がありました。
11月9日、松江市で行われた「消防フェスタ」で子どもたちが釘付けとなっていたのが…
「ウィンドミルアタック!」
ヒーローショーです。カラフルな6人の戦士が怪人と戦ったり、踊ったり。
その様子に会場は大盛り上がりですが腰に丸いものを付けたこのヒーローは一体…。
松江市北消防署 消防課 吉岡啓さん
「住宅用火災警報器の普及・啓発活動をする『住警器マン』です」
その名も「消防戦隊・住警器マン」。
煙で人々を困らせ恐怖をあおる「煙怪人」らとの戦いを描いたショーを行い"住警器"の普及・啓発や火災予防を呼びかけています。
松江市北消防署 消防課 吉岡啓さん
「松江市は(設置率が)全国平均に比べると少し低いくらいになっていて、普及啓発活動続けていきたいと思ってます」
消防法で住警器は、2011年から全ての住宅で設置が義務化されましたが、松江市の設置率は全国平均より10%以上低く、逃げ遅れ防止が期待され「住警器」の設置は急務です。
客
「楽しかった」
「面白楽しく、色々知れたので良かったです」
10年ほど前から有志で細々と始めたという「住警器マン」。
10月、市の消防本部から正式に認可され本格的に活動を始めましたが…
「じゃあ行くよ」
「了解」
ヒーロー隊員の正体はもちろん、現役の消防士です。
「進入!」
全員勤続10年以上、中には救急救命士の資格を持った隊員もいて日々最前線で働く傍らヒーロー隊員として活動しています。
「煙怪人」役 桑谷康平さん
「この消防の仕事自体が子どもから喜んでもらえて結構手を振ってもらえるんですけど、ヒーローショーでやったりすると子どもたちのレスポンスも良くて、やりがいに繋がっている」
各々の一芸を活かすのも「住警器マン」ならでは。
♪「燃やすのは君の瞳、熱い心消えることはない~」
このテーマソングもトレーディングカードも全てオリジナル。
体操経験者もいるのでアクロバティックなパフォーマンスもなんのその!
志願者数減少を背景に子どもたちが消防士を志すきっかけにもなりたいと意気込む隊員らですが、ここまで本気で取り組むのにはワケがあります。
メンバーの一部が消火活動に当たり、今も鮮明に記憶しているというのが4年前の4月、島根町加賀で発生した「加賀の大火」。
死者はいなかったものの、住宅22棟を全焼した大規模火災で、彼らはこうした火災の恐ろしさを誰よりも知っているからこそ伝えらえるものがあるといいます。
松江市北消防署 消防課 吉岡啓さん
「小さな火事でも、気候や環境によって凄く強風が吹いている時はすぐに隣接の建物に燃え移ったりだとかするので、(住警器マンのような)小さなところから活動して、できれば火事のない松江市になればいいなと思います」
空気が乾燥し久しぶりに暖房器具の使用機会が増え、火災の危険性が高まるこれからの季節。
もしもに備え、設置されている住警器が電池切れをしていないか確認することも重要です。
松江市北消防署 消防課 吉岡啓さん
「火災が少しでも減って、皆の命が守られるようなことに繋がっていくといいと思います」
「住宅用火災警報器を付けよう!」














