PK戦でクロアチアに敗れベスト8を逃したカタール大会
2022年のワールドカップでは、グループステージで強豪ドイツ・スペインを撃破し、決勝トーナメントに進出。日本初のベスト8を懸け挑んだクロアチア戦だったが、PK戦の末に敗れた。
高橋:前回のワールドカップ(2022年カタール大会)で初選出となって、思い出すと、悔しい思いもあるとは思うんですがどんな大会でした?
南野:そうですね。個人的には悔しい思いの方が強くて。グループステージで強豪(ドイツ、スペイン)相手に2勝して、やっぱりベスト16の壁っていうところが日本代表にとって一つの大きな乗り越えなければいけない壁で。そこを僕たちは打ち破れなかったというか、PK戦で僕自身もチームのキッカーの1人目として外してしまって、そこからチームが負けてしまったので、すごく責任感っていうところも感じましたし、だからこそ次のワールドカップに向けての強い想いっていうのはあります。
高橋:涙を流している姿が忘れられないシーンなんですけれども、立ち直るのに結構時間もかかったという報道も見ました。自分の中で整理ができて前を向くまでに、どのくらいの時間がかかったんですか。
南野:すごく落ち込みましたし、難しい悔しい気持ちっていうのはいつまでも、多分忘れられないなとは思います。1年ぐらいはネガティブな気持ちっていうのはあったかなと思います。
高橋:「1か月、2か月かな」なんてちょっと思ってたんですけれども。思いの重さを今痛感しました。
南野:はい。僕だけじゃなくて、前回のワールドカップを経験したメンバーっていうのが今も多く代表の選手としてプレーしていて。僕と同じ気持ちを持った選手たちが多いっていうのは、日本代表にとってリベンジというところで、大きなモチベーションになってる選手は多いんじゃないかなと思います。
高橋:この3年という期間、個人としてはどんな成長だったり変化があったと思いますか。
南野:ワールドカップが終わった後、少し自信を失っていた部分もあったので、それを取り戻すには、ヨーロッパで自分のチームに帰って、チームの中で絶対的な選手にならないといけないなっていうふうに思ったので。そのためには、ゴールだったりアシストであったり目に見える結果っていうところを。攻撃の選手なので、そこは意識して取り組んでいました。
高橋:日本でもみんなに知ってもらえるような活躍だったと思います。先ほどの話だと、みんなが前回のワールドカップから、次への思いを持ったということですが、チームの変化とか成長を感じる部分はありますか。
南野:何回も代表合宿を重ねるにつれて、新しい選手がその都度入ってきたりとか、そういうメンバーが変わった中でも、本当にレベルの高い選手がポジションの代わりを務めることができるので。そういう意味では、前回のブラジル戦もキャプテンの遠藤選手がいなかったりとか、何人か怪我でいない状況があったんですけど、それでもチームとしての強さっていうのを見せられたと思いますし、ワールドカップに向けて、すごく良いチームとしての状態っていうのを示したのかなっていうのは思います。
高橋:海外でも、皆さん活躍していて。個々の力も上がってきましたよね。
南野:そうですね、本当に前回のワールドカップに比べても、ヨーロッパのトップレベルのリーグやチームでプレーしている選手が増えたなと思います。ただそこのチームに所属してるだけじゃなくて、そのチームの中でも重要な選手としてプレーしている選手が多いので、個人個人がレベルアップすることによって、それがチームとして還元されると思うのでそういう意味でも、前回のワールドカップよりもよりレベルアップはしてるんじゃないかなと思います。
高橋:前回のブラジル戦は、遠藤さんが出られないということで、キャプテンのマークをつけました。ピッチの中、ピッチの外での南野選手の役割を自分ではどう感じてますか。
南野:ピッチ外では特に何も変わることはなかったというか、いつも通りだなと振り返ってみて思います。ピッチの中、それこそロッカールームで試合に行く前だったりとかっていうのは、いつも大体キャプテンが一言、喋ったりする。それをしたのが代表で活動してから初めてだったので、何を言おうかっていうのは少し考えたりする部分はありました。ブラジル戦は特に僕だけじゃなくて、僕たち代表チームにとってすごくモチベーション高い一戦だったので、歴史を変えるような戦いをしよう、そういう声掛けっていうか。どういうふうなところに向かって僕たちはプレーするんだっていうところを示せるようにっていうところは、意識した。うまくいってよかったかなと思います。
高橋:後半戦に向けても、「まだ終わってないぞ!」と。
南野:そうですね。その時点では2ー0で負けてたので、やっぱり下を向いてしまう部分とかもあったと思うんですけど。でもそのとき、僕が感じたのは、誰も下を向いてる選手がいなくて。1点取れば、全然試合状況は変わるだろうと。僕たちが反撃をして結果を変えられるっていう手応えを持っていたので。なのでそういう意味でも、1点取れれば、全然まだまだ勝負はわからないよっていうことは伝えました。
高橋:伝えるだけではなくて、ピッチの中に入って、まさにその1点を最初に取った。きっかけを作ったわけじゃないですか。前線に上がっていって決めることもできる。でも、守ることもできる。めちゃめちゃ走っているイメージがあるんですが、そういったピッチの中での役割は自分の中でどういうふうに感じてますか。
南野:いやもう本当におっしゃった通りで、攻撃でも守備でも、どちらでもチームに貢献するっていうところは意識してプレーしています。どんな形であれ、ああいうゴール前でチャンスになったときに思い切ってシュートに行くとか、そういうところの思い切りの良さとかも自分の特徴だと思うので。
高橋:もう森保ジャパンになってから8季目だと思うんですけれども、当初と自分の中で変わってきた部分はありますか。
南野:そうですね。最初に森保さんとプレーしたときとは、システムだったりポジションっていうのが少し変わった部分もありますし。当時はより、もっと攻撃の部分だけによりフォーカスしてプレーしていたんですけど、今はもっとチームとしてのいろんな戦術であったりとか、幅が増えてきたのもありますけど、より味方選手との関係性であったりとか、守備での自分の役割とか、タスクが増えてきた部分もあるので、いろんなことをより意識してプレーしてるなと思います。
高橋:森保ジャパンの中では、一番得点を挙げてる選手だと思うんですけれども、ゴールへのこだわりはありますか。
南野:攻撃の選手として、一番チームにとって助けになるのはゴールをすることだと思うので、そこはやっぱり常に意識しています。チームがしんどいとき苦しいときだったりとか、より相手が強豪のチーム、そういうときにこそ、ゴールでチームを救えるような選手になりたいっていうのは思っています。
高橋:まさにブラジル戦が、それを象徴するようなゴールのように見えるんですが、自分が選ぶベストゴールというと、どれですか。
南野:それこそブラジル戦のゴールとかもすごく気に入ってはいますけどそうですね。前回のワールドカップの前に、ウルグアイ戦で決めた1点目のゴールっていうのが自分にとってはすごいお気に入りのゴールかなと思います。
高橋:どんなところがですか。
南野:当時、ロシアワールドカップが終わって次のカタールワールドカップに向けてチームがガラッと変わったタイミングの中で。当時自分も若手の一人として、森保ジャパンでスタートしたときに、初めて強豪の相手と戦うタイミングだったんですけど、自分としてはやっぱりそこでチャンスを掴んで、ゴールという結果でチームを助けたいっていう強い気持ちを持って入った試合でもあった。そこでチームも勝利することができたので、何か自分にとってすごく嬉しかったなっていう気持ちもありますし思い出深いゴールかなと思います。
高橋:その一点にかける想い、その一点がもたらした影響力みたいなものがやっぱり一番大きいんですね。














