15日に開幕した聴覚障害のあるアスリートの国際大会「デフリンピック」。100周年の記念すべき大会が史上初めて日本で開催され、12日間、21の競技で熱戦が繰り広げられる。注目選手の一人、卓球の川口功人(26、トヨタ自動車)は前回大会で団体銅メダルを獲得し、今大会でも活躍が期待されている。そんな川口には、「アスリート」「サラリーマン」、そして「映画俳優」と、さまざまな顔があった。

「フルタイム勤務」のデフアスリート

生まれつき聴覚に障害があり、補聴器をつけて生活している川口だが、ふだんはトヨタ自動車の会社員としてフルタイムで勤務。

トヨタで働く川口選手

仕事を終えると、会社の卓球部で健聴者と共に練習に励む。ただ、デフリンピックの試合は補聴器を外して行われるため、“音がない”中で戦わなければならない。卓球はボールがラケットに当たる音や台にバウンドする音が重要な競技。川口は音のない世界で「目で見て判断する力」を磨き、さまざまなボールに対応できるように訓練を続けている。その成果もあり、去年初めて日本チャンピオンに輝いた。