「つらいことも出していくけど…」最後に伝えたいのは“希望”

 花團治さんは、名古屋市の東山動植物園を訪れ、落語の題材になった歌の作曲者に会い、今後の落語にいかそうと歌に込めた思いを聞きました。

 (音楽家 藤村記一郎さん)
 「(ゾウ列車の歌は)つらいことだけを合唱にするのではなく、(子どもの)『ゾウに会いたい、ゾウと遊びたい』という夢を実現させる物語」

 (三代目・桂花團治さん)
 「僕の伝戦落語も合唱曲みたいに“希望”で終わる。しっかりと戦争のことを描きながら最後は“希望”が見える。これを守っていこうみたいな」

 東山動植物園で改めてその歴史に思いを馳せた花團治さん。今も新しい落語の制作に取り組んでいます。どう「伝戦落語」を形にしていくのか。その思いを再確認していました。

 (三代目・桂花團治さん)
 「つらいこともしっかり出していくけど、希望で終わろうというのは(曲と)全く同じだし。ここへ来てゾウ見て藤村先生と話してやっぱりそうすべきだなって。これから時代を担っていく人たちにちゃんと伝える落語をしていきたい。一緒に戦争のことを考えるような落語をしていきたいです」

 <創作落語「どうぶつえん1945」>
 「戦争というのは無慈悲なもんじゃな。それに犠牲になるのは、いつも弱いもんからや」

 落語を通じて戦争を伝える。この決意が、花團治さんの活動の原動力になっています。