「どうぶつえん1945」題材にしたのは悲惨な実話

 これまでに4作の「伝戦落語」を作ってきた花團治さん。「どうぶつえん1945」は4作目です。名古屋市の東山動物園(現・東山動植物園)の実話を題材にしました。

 太平洋戦争中、「空襲で壊れた檻から逃げるかもしれない」などの理由で、大阪の天王寺動物園など全国各地の動物園で猛獣が殺処分されたことなどが生々しく語られます。

 <創作落語「どうぶつえん1945」>
 「むちゃくちゃや。俺は動物を育てるために飼育員になったんや。動物殺すの、一番やったらいかんことやし一番やりたないことや」
 「どうせ殺されるんやったら、俺の手にかかった方がええっちゅうのか。そうか、そうか。そう思ってええねんな。ええねんな」

 (客)「語り部とは違う会話の駆け引きが臨場感につながるのかな。戦争の悲惨さを伝えられる落語ってすごい」

 猛獣の殺処分は東山動物園でも行われましたが、当時の園長が軍に嘆願し、ゾウだけが殺処分を免れました。結果、全国で唯一ゾウが戦争から生き残ったのです。