「できません」鉄壁の広報とベッカム夫婦の「神対応」
イシグロさんへの単独インタビューが無事に終わり、次はベッカムさんです。
私たちをサポートしてくれる広報担当者に、ベッカムさんを待つ取材陣に合流できないかと聞きますが、「できません」の一点張り。そこで「移動しないで、出口を出てくるところだけでも撮影させて欲しい」とお願いしたり、同行したカメラマンが「学生時代、ベッカムヘアだったんです。日本では大流行していたんですよ」などと食い下がりましたが、広報担当者は苦笑するばかり。やはり「撮影NG」でした。
こうなれば、肉眼と脳裏に焼き付けるしかありません。
ベッカムさんと妻のヴィクトリアさんは私たちの反対側で地元メディアの取材を受けているようですが、建物に阻まれその様子は全く見えません。待つこと20分。ついに2人が城から出るために私たちの前に姿を現しました。

こちらに向かって歩いてきたベッカムさん夫婦。ともに年齢を重ねた大人の魅力が神々しく、凄まじいオーラをまとっています。
およそ2メートルほどの至近距離にも関わらず、ただ見つめることしかできない私たちが、日本メディアだと気づいたのか。ベッカムさんが私たちを見つけると手を挙げて「ハーイ」と声をかけてくれたのです。
いい人だ…!
興奮してしまった私は、「叙勲おめでとうございます」といった気の利いた一言も言えず、ただ「ハーイ」と返すことしかできませんでした。 隣にベッタリついた広報担当者のマンツーマンディフェンスがなければ「少しだけ撮影してもいいですか」と直接交渉していたところでしたが、それも叶わず。

それでも、私の中でベッカムさんの好感度は爆上がりしました。
カズオ・イシグロさんの知性と誠実さ、そしてデイビッド・ベッカム夫婦のスター性と優しさ。 英国を代表する二人の「紳士」の姿に触れた、忘れられない一日となりました。
(TBSテレビ ロンドン支局 岡村佐枝子)














