ワインは同じ風土で育った食材と合わせることで魅力が一層引き立つといわれていますが…、
信州のあの食文化と組み合わせたイベントが開かれました。

洒落た空間で料理とワインを楽しめるのは、JR長野駅にもほど近い長野市北石堂町のレストラン・ネコノワイン。

この日振舞われた料理には県民にはなじみ深いともいえる?あの「食材」がふんだんに使われています。

それが、栄養価も高く、環境にも優しいといわれる信州の文化「昆虫食」。

県産ワインとの組み合わせで新たな価値を発信しようと初めてのイベントが開かれました。

野原を飛び回っていた当時の姿を留める上田市産の天然のイナゴや、須坂市の養蜂場で育った栄養たっぷりの蜂の子、信州の養蚕業の歴史と文化を物語る下諏訪産のカイコなどが並びます。

「(虫を食べるの)人生で初めてなんですよ、パリパリしててスナック感覚で見なければ食べれるかもしれない」

虫を使った料理を考案しペアリングのワインを選んだのは、成澤篤人(なるさわ・あつと)さん。

ネコノワインの代表を務める坂城町出身のシニアソムリエです。

(成澤篤人さん)「昆虫には独特な苦みや食感があってそういうフックを持っている食材という意味ではワインにはそのフックが引っ掛かる部分がたくさんあって合わせるのが面白かった」

さらに、今回の料理には他にもこだわりが…。

(成澤篤人さん)「サラダとかにはあえて菜園で遊んでいる風にイナゴをあしらったり、昆虫を食べるということ自体を隠さないで、目でも楽しめるように考えて作った」

これまでの価値観を激しく揺さぶるような虫とワインが織りなすマリアージュ…。知られざる世界を求めて県内外から20人が集まり、食事を楽しみました。

「(お目当ては?)虫ですね、本当に久しぶりに小学生以来の昆虫食なので楽しんでいます、ワインが爽やかで虫がカリカリっとしているのですごく食べやすくてぴったりマッチしていると思います美味しくいただいてます」

そしてこの日のメイン料理が登場。

「信濃地鶏もも肉のグリル信州産蜂の子と蜂蜜を使ったマルサラソース」

信州産のワインに信州産の肉、信州産の野菜、そして信州産の虫。

地鶏の肉厚な食感に赤ワインと蜂の子の持つ渋みと香ばしさが重なり、信州のテロワール=風土を存分に味わえる一皿です。

「ペアリングという形で合うワインを出してもらえて楽しくて美味しかった、目で見て楽しいし、普段味わえないものを食べているなという気持ちが強い」
「始めは本当に論外だったが、きょうのコースが始まるまでは終わってみたらアリだな」

(成澤篤人さん)「お皿を出した時に『うわ』みたいな反応もあったがおいしいと食べてくれて『ワインとも合いますね』なんて言ってもらえてうれしい、昆虫食って日本だと長野以外にそんなになくて昆虫を食べるそしてワインを飲むということは長野県しかできない強みだと思って可能性は感じている」

家畜のように大量のエサや水を必要としないため食糧問題の解決策としても期待が高まる昆虫食。

ワインとともに虫をたしなむ信州発の新たな文化が、常識になる日が訪れるかもしれません…。