販売の条件「薬剤師の前で服用」

小川彩佳キャスター:
緊急避妊薬が早ければ今年度中には、処方箋なしで薬局などでも購入できるようになるということです。

私が「news23」を担当してすぐに緊急避妊薬について大きくお伝えしたことが記憶にあります。それが6年前なので、少なくとも6年前には議論が既に進んでいた中で、なかなか進まなかった。「ようやく」という感覚があります。

産婦人科 宋美玄さん:
そうですね。やはり緊急避妊薬は、いろいろ気をつけていても誰もが必要になる可能性のある最後のセーフティーネットなので、本当は手軽に手に入ることがすごく大事ですが、私も記憶する限り、7~8年ぐらい前からやっぱり市販化に向けて、我々産婦人科医の有志でもそういった活動もしていました。しかし、途中コロナ禍でオンライン診療が進んだりなどいろいろあって、「やっと」という感じで、本当に嬉しく思っています。

小川キャスター:
緊急時に必要な薬が、緊急に手に入らないという状況がずっと続いていたわけですが、藻谷さんは、緊急避妊薬の市販化の動きをどうご覧になりますか。

地域エコノミスト 藻谷浩介さん:
何かと進まない日本と言われてる中で、時間かかったけど何か動いたのはいいことだと思います。しかし、逆になぜそんなに時間がかかったのか。改めて聞いてみたいです。

産婦人科 宋美玄さん:
それには本当にいろいろな理由があります。

「女性の体を思い通りにさせない」という人たちもいるとも言われていますが、それはアフターピルに限ったことではありません。性教育も全然進まず、ピルなどの他の種類の避妊法の普及も遅れています。

その中で、アフターピルだけアクセスが良くなればいいかというと、そういうわけでもありません。やはり性教育をちゃんと広めたい人からすると、アフターピルのアクセスだけが進むのがアンバランスに感じられたり、一方で全てのものに対する抵抗勢力みたいなのもあり、すごく複雑なんです。

最後は、私の見立てではちょっとオンライン診療がすごく流行り、ピルなどの処方が結構無法地帯なんです。このあたりは感想にはなりますが、それで改めて薬局の方がまだちゃんとやるのではないかとなったこともあるのではないかと思います。市販化まではすごく長かったです。

藤森祥平キャスター:
緊急避妊薬の販売条件について、情報をまとめます。

これは当たり前ですが、妊娠・性教育については男性も当事者として捉えるべきことです。
しっかりとお伝えしていきます。

「転売など悪用の懸念がある」という意見が一部の専門家から出ていまして、購入者は薬剤師の目の前で服用することが条件になります。映像で出てきた女性は、目の前で飲むプレッシャーや、飲んでいるところを誰かに見られるという不安もお話をされています。厚生労働省としては、一定期間後、面前服用の見直しについても議論することにしています。

産婦人科 宋美玄さん:
面前服用については、いろいろな議論があると思いますが、アクセスが良くなることは女性にとってすごくいいことですが、悪用したい人にとっても都合のいいことでもあります。

実際に処方していると、男性がびっちり付いてきて服用するまで見届ける人や、明らかにそれを飲まされている人、例えば性風俗を強要されてる人など、いろいろな悪用例もあるので、これについては「女性を信用してない」という意見も最もですが、慎重派の人がこれを条件にしていて、そこは一旦その条件を飲んで前に進めようということで、また見直せばいいというふうに思います。

地域エコノミスト 藻谷浩介さん:
持ち帰って流通させる、転売する人がいるかもしれないという心配があるということですね。

産婦人科 宋美玄さん:
そうですね。面前服用については、一旦このまま進めるという感じですね。