今から69年前の1956年11月8日(木)。日本の初代南極観測船「宗谷」が第一次観測隊として東京・中央区の晴海ふ頭を出航しました。この日を機に日本の南極観測事業は幕を開け、69年経った現在でも国家事業として続けられています。(アーカイブマネジメント部 小熊 優)

14000kmの挑戦。「宗谷」が目指した氷の大陸

初代南極観測船「宗谷」が目指した先は日本から14000kmも離れた広大な氷の大陸でした。
日本を南下してシンガポールとケープタウンを経由し、さらに南に航路を進めて南極大陸から4km離れた東オングル島を目指しました。

日本から南極までの航路図。日本→シンガポール→ケープタウン→東オングル島という航路を進みました。

数千人が駆け付けた!期待と希望を乗せた出航式

1956年11月8日。東京・中央区の晴海ふ頭では、第1次南極観測船「宗谷」の出航式が盛大に開かれました。

式には当時の清瀬 文部大臣が出席して「人類が知らない地球に関する研究をしてきてほしい」と激励の挨拶を送り、永田 南極観測隊隊長も「日本国民の後援の上に日本を出発できることは幸せ者である」と応えました。

挨拶する清瀬一郎 文部大臣(左)と永田武 南極観測隊隊長(右)。

出港式には多くの人が駆け付け、たくさんの声援が送られました。大歓声の中、人々の期待を背負った「宗谷」は午前11時に静かに岸壁を離れました。

宗谷が目指す先は南極・東オングル島。
東オングル島は南極観測基地(後の昭和基地)の予定地であり、到着予定は1月。現地にとって真夏とはいえ、白夜の中の極寒の地です。

詰め寄せる人々の中には日の丸の国旗を持っている人もいました。お別れの紙テープセレモニーの様子。