膝を立てて座り、ストレッチするかのように腕を組んだ珍しい姿。1952年に福島市で出土した国の重要文化財「しゃがむ土偶」は、縄文人が“特別な願い”を込めて制作したと考えられています。考古学が専門の京都文化博物館・山崎頼人学芸員は、「縄文人の出産の様子を表している可能性がある」と話します。祈りの象徴、という説もありますが、縄文時代は座って子供を産む、『座産』が行われていたことから、その様子を表現しているとみられています。
縄文時代の出産は“命がけ”で、出産時に命を落とすことも多く、縄文時代の土偶のほとんどは女性で、胸やお腹を強調したものも多く作られています。これは、安産や子孫繁栄を祈願していたと言われています。
衛生状態や食料事情が悪く、医療が発達していない縄文時代では、出産も子育ても大変だったことでしょう。青森市にある世界遺産・三内丸山遺跡では、大人の墓が約470墓見つかったのに対し、子どもの墓が約890墓見つかり、子どもの死亡率が高かったことが推測されています。














