吉田とサンベルクスの化学反応で3位以内に

大学卒業後はプロランナーとして走って行くことを決めていた吉田と瀧川コーチに、サンベルクスが提案をした。駅伝で戦力となってもらうことを条件に、吉田のプロランナーとしての自由な活動を認めるという内容で、両者は直接的な労働契約関係を結ぶことになった。

サンベルクスの入社式(中央が吉田選手)

サンベルクスは14年3月創部の新興チームだが、前回の東日本実業団駅伝で3位。市山翼(29)が3月の東京マラソンで日本人1位(2時間06分00秒)になるなど、近年注目を集めている。吉田も8〜9月はサンベルクス・チームの北海道合宿に合流し、週に2〜3回行う負荷の大きいポイント練習は一緒に行った。

瀧川コーチが説明する。「上岡宏次監督と相談して、監督の立てるメニューとも擦り合わせをしました。これだったらチームの強化にも、吉田の強化にもなると考えました」

ほぼクロカンだった練習から、駅伝と、その後の初マラソンも見据えて、ポイント練習ではロードやトラックも走った。「市山選手がキツいポイント練習を簡単にやることに刺激を受けましたし、今までやってこなかった、ポイント練習翌日にセットで距離走を行ったりすることも、何パターンかやりました」

上岡監督は、サンベルクスの選手たちにもプラスになったという。昨年までは東日本実業団駅伝の成績は良くても、元旦のニューイヤー駅伝では15~17位が続いていた。東日本にピークを合わせるため夏に走り込む量が若干不足し、11月の記録会で翌年の日本選手権などの標準記録を狙う必要もあるため、元旦にピークを持っていけなかった。

「今年の夏合宿もポイント練習は例年と同じでしたが、ポイント練習にプラスアルファで走ったり、翌日に色んなことを自主的にやったりする選手が増えました。響が来たことで、去年とチームの雰囲気も変わってきています」