■みんなで価値を作り出す「アートは一番本質的な経済活動」

山本恵里伽キャスター:
世界の美術品の市場規模は2020年に大きく下がったんですが、2021年にはコロナ前の状況に戻っています。世界経済と連動しているとも言われていますが、成田さんはこのアート市場、今後どうなるとお考えですか。

イェール大学助教授・経済学者 成田悠輔氏:
もちろん予測は難しいんですが、世界経済とか市場経済って価値があるかどうかわからないものに無理やり価値をつけていく仕組みだと思うんです。株式会社みたいなものに価値があると思うのも、未来に何か作り出されるはずだと僕たちが思い込むから価値が生まれるわけですよね。それは仮想通貨でもSDGsでも、全部そうだと思うんですよ。そう考えるとアートっていうのは、価値があるかないのか、ふわふわとしたところにみんなで価値を作り出していくという、一番本質的な経済活動なんじゃないかなと思うので今後も価値は減ることはないんじゃないかな。
小川彩佳キャスター:
アート作品が次の常識を作り出していくというふうにも捉えられそうですよね。
成田氏:
価値観をアップデートしていくためのツールですよね。
小川キャスター:
ちなみにアート作家と成田さんのような研究者との共通点みたいなものって何かありますか?
成田氏:
共通点はないんですが、相違点はありますね。研究者も価値があるのかないのか、普通の人から見るとよくわからないことをやってるじゃないですか。新しい知識を目指す。それを経済とか市場を通じて価値に変えるってことに失敗してる業界だなっていつも思うんです。そう考えるとアーティストから学ぶものは多いですね。