まさか、なくなることもあるんです。

▽依頼者 86みゆきさん▽
「ペットに入れたマイクロチップが反応しなかったのですが、どうしたらいいんでしょうか?こんなことって起こるんでしょうか?」

6月に「改正動物愛護管理法」が施行され、販売される犬や猫へのマイクロチップの装着・登録が義務付けられることになった。マイクロチップは直径1.4ミリ×長さ8.2ミリ程度の円筒形で15ケタの個体識別番号が記録された電子標識器具だ。

これを注射器でペットの首の後ろの皮膚に埋め込んでから飼い主の登録することで、ペットが迷子になった時や災害時にはぐれてしまった場合でも身元を特定することができるのだ。

ペットショップ小泉 小泉武史社長
「お客様からも時々迷子になって困っているとか、そういうお問い合わせいただくことあります。大体は(発見の)連絡なくそのまま終わってしまうことが多いですね」

そう話すのは、札幌で62年間ペットを販売する小泉社長。実際にアメリカでは、ペットの3匹に1匹が一生に一度は迷子になるというデータがある。さらに迷子になった飼い猫が飼い主の元に戻ってくる割合は、マイクロチップを装着すると1.8%から38.5%にも上がるのだ。

依頼人 86みゆきさん
「9月19日にブリーダーから購入したんですけど、その時にはマイクロチップの登録証明書をもらって、登録日は令和4年の8月25日になっていました。11月12日に3回目のワクチン接種で受信したときにリーダーを当てたんですけど、反応しなくて、こんなことって起きるんだろうかとか、どこに相談したらいいだろうみたいな状態なんです」

なんと依頼人の飼っている猫はしっかりと登録をしたはずなのに、チップを読み取るリーダーには反応しなかったのだ。

環境省のホームページにも、マイクロチップは外れることのない「小さな名札」と記されているのに、なくなることはあるのだろうか?

依頼人がワクチンを接種した病院に尋ねてみると。

高橋動物病院 近藤厚院長
「今のところ(この病院では)ないですね」

チップが反応しないことがあるという話を聞いたことはあるが、実際に反応しなかったことは初めてだという。

病院で隅々まで探したマイクロチップ。一体どこへ行ったのか?調査を進めると意外な事実が!

6月に、販売されるペットへのマイクロチップの装着・登録が義務化された。しかし、依頼人が9月に迎え入れた子猫には、入れたはずのマイクロチップが見当たらなかった。病院でも聞いたことのない状態に、院長先生は一つの可能性を疑った。

高橋動物病院 近藤厚院長
「マイクロチップが脱落した可能性があります」

脱落とは、注射で打ち込んだマイクロチップが正確に体内に入れられず、注射のさし穴付近にマイクロチップがとどまっている状態で、その後ペットが動くことで、マイクロチップが体内から落ちてしまうことをいう。依頼人の猫もマイクロチップの脱落が疑われるのだ。マイクロチップが入っているかどうかの確認はレントゲンを撮るとわかるという。

依頼人がレントゲンで確認したところ、マイクロチップは体内になかったことが分かった。マイクロチップが消えた原因は『脱落』したと予想される。

しかし、せっかくペットに打ち込んだマイクロチップ。脱落を防ぐ方法はあるのか?

高橋動物病院 近藤厚院長
「これがマイクロチップの針ですね。これを押すと中からマイクロチップがこのように出てきます。そして中に入れますね。そうしたらここ(マイクロチップを打ち込んだ場所)を押さえて…」

一方脱落が起きやすい場合は…。

高橋動物病院 近藤厚院長
「(注射針を)抜くと一緒についてくる可能性がある」

実際マイクロチップの脱落はどの程度の頻度で起きるのだろうか?

ニットクRFID事業部 藤原祥雅事業部長
「脱落というのは1万頭に1頭となっていました」

そう話すのは、世界でもトップレベルの精密コイルなどの製造装置を持つ、ニットクの藤原事業部長。この企業では、従来のものより高性能でペットに負担の少ないマイクロチップを作っている。

ニットクRFID事業部 藤原祥雅事業部長
「これが従来のマイクロチップです。それに対し私どものマイクロチップは、このぐらいの大きさになります。飼い主から痛いんじゃないかとか、体に負担が大きいんじゃないかというような話があって、マイクロチップ自身を小さくしたかった」

大きさは、これまでのものの半分以下。これによってペットへかかる負担も格段と下がるのだ。ペットへのマイクロチップ装着の義務化に対しては様々な意見があるが、飼い主とペットがより安心して暮らせる社会。不幸な運命をたどらないために、一度考える必要がありそうだ。


▽調査結果▽
「マイクロチップの消失は”脱落”が原因でした」