YouTubeの拡大は「楽しい」から「有用な情報」への波及
野村:ここからはポジショントークも入りますし、申し上げにくいのですが、課題はやはり内容面です。「楽しい」「面白い」を価値に置いた「気軽なトーク」が多く、それよりもナレッジ(知識)をこのPodcastの世界に蓄積していかなければいけないと考えています。
YouTubeの進化を思い返すと、初期は面白い素人が突飛なことをやる娯楽の道具でした。しかし、いつしかYouTubeには有用な情報がある、という認識が広がっていったと思います。
設楽:確かに。何か調べたいことがある時に、まずYouTubeで探す人が増えました。
野村:私もそうです。それは、このYouTubeの空間には自分の課題を解決してくれる情報がたくさんあるだろうという期待値を皆が持っているからこそ、人々が流れ込み、結果としてコンテンツも増えていったと理解しています。そう考えると、Podcastはまだ、面白い話を聞ける場所としては成立していますが、自分の課題を解決してくれるものがあるという期待値が形成されていない。
設楽:おっしゃる通りですね。学びや教養のある番組も存在しますが、図書館のようにバラエティに富んでいるかというと、まだ埋まっていないピースがたくさんあります。
野村:私はいつも図書館や書店のイメージで番組を制作しているのですが、それぞれの棚の決定版がまだ全然ないという状況なのです。歴史のジャンルでは人気の番組がありますが、例えばアートならこれ、というように、さらに細分化されてもいいはずです。そういった空間が日本ではまだ存在していないので、私はその一助となればと思い、制作活動をしています。














