「相手にしているのは軍だけでなく、軍を支援する国々の技術とも戦っている」

2025年8月、ウィン・チョウさんとマティダさんが暮らす都内のアパートを訪ねました。

ウィン・チョウさん
「これは国境の避難民たちに送る洋服です」

2人は戦場の若者たちとも連絡をとりあい、物心両面で支え続けてきました。いつしか若者たちは、2人を「日本のお父さん、お母さん」と呼ぶようになりました。

ピ・トゥ・トェイさん(26)は民主派部隊に所属し、ドローンチームのリーダーとして最前線で戦っています。ドローンも自分たちで開発しました。

ピ・トゥ・トェイさん
「このドローンの最大積載量は16キロですが、私たちが載せる爆弾は合わせて10キロほどです。この大きさのだと2つくらいですね」

日下部正樹キャスター
「こういった爆弾はどこから手に入れる?」

ウィン・チョウさん
「自分たちで作る」
ピ・トゥ・トェイさん
「今は基地にいて、緊急時にはすぐ出動できるようにしています」

軍事力では圧倒的優位に立つ軍に対して、戦闘経験のない若者たちは手探りで戦いを進めてきました。

2023年10月27日、事態が動きます。
「1027(イチゼロニーナナ)作戦」と呼ばれる一斉攻撃をきっかけに、攻勢に転じたのです。

民主派側が地方にある軍の拠点を相次いで占拠し、軍の兵士が次々と投降しました。

2024年のインタビューで、ピ・トゥ・トェイさんは「戦いの終わりが近い」と明るい表情で語ってくれました。

あれから1年あまり。大地震のあとの戦況に変化はあったのでしょうか。

ピ・トゥ・トェイさん
「戦闘が以前よりも激化し、広範囲に及んでいます。いくつかの地域は、引き続き私たち民主派が占拠しています。しかし、他のいくつかの地域は軍の攻撃が激しくなり、手放さざるを得ない状況です」

大地震の混乱の中で、民主派が劣勢にまわる地域も出てきているといいます。

そして、軍の後ろ盾として地震の後、いち早く支援に動いた2つの大国の名前を挙げました。

ピ・トゥ・トェイさん
「私たちが相手にしているのは軍だけではなく、軍を支援する中国やロシア、そういった国々の技術とも戦っている状況です。軍は、失う領土が増えれば、他の大国にさらに支援を求めます。経済的な取引という形で他の国々からの軍事物資がより一層増えているのです」

ウィン・チョウさん
「…結構固くなっちゃった、顔が」

インタビューに答えるピ・トゥ・トェイさんの表情からも戦闘が激化していることが伺えます。