「軍単独パトロール」の課題を浮き彫りにした事件

「車のガラスが割られている」と通報をうけた県警は、現場近くでけがをした海兵隊員と割れたガラスを発見。

しかし捜査に着手しようとした段階で、海兵隊員は基地の中の病院に運ばれていた。当事者を捜査できなかった県警は、防犯カメラ映像を精査するなどして器物損壊の疑いで海兵隊員を書類送検した。捜査は米側と協力し、支障はなかったと説明したものの、日米地位協定に詳しい専門家は主権侵害の危険性を訴える。

▼前泊博盛教授
「この国の領土、領海、領空内においては、日本の法律が適用されるのは当たり前。フェンスの内側から外に出てきて、米軍の警察が取り締まりを行うこと自体、これは主権侵害が行われているという風に受け止められる」

また、政府や自治体がこの状況を容認していると指摘。日本の主権が及ぶ場所で、米軍の権限が拡大する危険な状況が生まれていると警鐘を鳴らす。

「(本来)フェンスの内側で管理しなければならないものを、フェンスの外に出ていった人たちが管理されていない状態なので、それを米軍が出張ってくる。これは当然、日本の警察が、日本の司法機関が当然、やるべき問題。それをアメリカに任せていること自体が、おかしな問題だと思います」

1995年、少女暴行事件とその後の県民大会を取材した前泊博盛教授。この30年で県民にも変化があったと指摘した。

「県民大会というのは、ものすごく大きなうねりをもって普天間基地の返還までもってきた。その後もたくさんの同種事件・事故が起こっている。にも関わらず、県民のなかにそういううねりを生み出す力が衰退した印象」

「どれだけ苦労して米軍統治から沖縄は主権を奪い取ってきたか。奪われた主権を取り戻すのに沢山の犠牲を生んできた。そういう歴史を学び直す必要があると思う」