「大義なき選挙」といわれた静岡県伊東市の市議会議員選挙の結果について、法政大学大学院の白鳥浩教授に伺います。
<LIVEしずおか 滝澤悠希キャスター>
前職18人はすべて当選。そして新人を含む19人が田久保市長への不信任決議案に賛成という立場を取っています。こういう結果になりましたが、改めて白鳥さんはどう受け止めますか。
<法政大学大学院 白鳥浩教授>
これは選挙の結果、前職、つまり、田久保さんに不信任を投票した人が一人も減らないということで、結果としては議会の構成にもほとんど変化がない。新しい人が2人入ったということになりますけれども、この選挙を果たして6300万円を使ってやる必要があったのか。
そういう説明責任を今後田久保市長は要求されることになると思います。
<滝澤キャスター>
まさにお金をかけた意味は検証していく必要がありますよね。そして注目していただきたいのが、前の議会の主要メンバーの得票数です。
<LIVEしずおか 井手春希キャスター>
前議長の中島さんは2044票で2位、そして前副議長の青木さんは1563票を獲得し、5位となりました。実はこの二人、前回2023年の市議選では回答先となっていて、今回倍以上得票数を増やした形になります。
<滝澤キャスター>
大躍進だったわけですよね。田久保市長誕生の流れでいうと、刷新感を求める民意というのも一定数これまであったと思うのですが、今回でいうと今までの議会を評価するような市民の意思というのも感じられたと思います。現在の民意の流れ白鳥さんはどうなっているとお考えですか。
<白鳥教授>
これは田久保市長に対して否定・否決というそういう民意があらわれたというふうに言えると思います。
<滝澤キャスター>
あくまで刷新感が消えたということではなくて、今回の田久保市長に対しての評価というところがあらわれている。そう考えればいいわけですね。そして、その田久保市長のスタンスについて続いては考えます。10月20日朝、報道陣の取材に対して、今回の選挙について、「もうちょっと政策論争ができればよかった」というふうに話していたんですね。
ただ、今回、ご自身の判断の中で急に選挙へと突入したわけですが、このお考えについてはどう感じますか。
<白鳥教授>
そもそもこの選挙は何で始まったのかというふうに考えると、田久保さんの予期できぬ議会の解散ということはあって、とても政策論争を深めるには時間が足りなかった。そういう構造的な背景というのがあったんじゃないかと思うんですよね。
<滝澤キャスター>
まさにこのタイミングでよかったのかというところは、改めてこういう側面でも考えていかなければいけないと思います。そして、もう一つ注目したい発言が、これは選挙期間中の発言なんですが、報道陣の「今回の選挙の目標をどう考えますか」という質問に対して、「一人でも二人でも志を持った新しい人が出てくれば、議会の中は変わる」というふうに答えていました。
ただ実際考えてみると、不信任決議案再可決失職というのは食い止められそうにありませんよね。田久保市長の思惑というのはどこにあるのでしょうか。
<白鳥教授>
ある種時間を稼ぐ中で市民の民意が変わってくるというのを待っていた。それはなかなか起こらなかった。そういうことなんだろうと思います。
<滝澤キャスター>
では、今後のスケジュールを確認します。

<井手キャスター>
10月31日に市議会の臨時会が召集される見込みで、そこで不信任決議案が可決された場合は田久保市長は即日失職となります。50日以内に市長選が行われますので、12月14日、もしくは12月21日投開票というスケジュールが予想をされています。
<滝澤キャスター>
12月に市長選という見立てになっていますけれども、白鳥さんはどんなところに注目したらいいでしょうか。
<白鳥教授>
今予定されているあるいはいろいろな報道のベースですけれども、田久保市長もこの出直し市長選には出るだろう。それと同時に複数の保守系の候補が出るのではないかというふうに言われているわけです。そこで、保守の分裂になっていく、一体誰を、田久保市長も含めて選んでいくのかということが伊東市民の一つの選択というものが試されている。そういう選挙になると思います。
<滝澤キャスター>
どういう考えの人が何人出るかに注目ですけれども、田久保市長の動きについてはどういうところを見ていきましょうか。
<白鳥教授>
圧倒的に知名度を稼いだというところが今ありまして、田久保さんは知名度を背景にSNSなど、これまでとは違うあり方で選挙にアプローチしていく。それによる自分の訴えの浸透を図っていく。そういう選挙戦になるだろうと思っています。
<滝澤キャスター>
今後の動きも注視したいと思います。