保護団体らを悩ます「頭数制限」と「数値基準」

(電話をする秋山さん)
「お疲れ、今いけるよ。今?何の犬?今すぐは厳しいけど、ちょっと待ってもらえたら空きがいけるかな。ごめんな、ありがとう」
(秋山文子さん)
「(Qどなたからの電話ですか?)今のはね、うちの仲の良いボランティアさんで。全部引き取ってあげたいけど、うちが今のところキャパいっぱいなんで」
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これ以上、保護できない理由は動物愛護管理法の改正にありました。動物を虐待などから守るための動物愛護管理法が改正されて、今年6月から新たに頭数制限と数値基準が導入されました。
頭数制限はペットショップなどの従業員1人につき飼育できる犬などの数を制限するものです。例えば保護団体では、来年には30頭まで、2年後には25頭、3年後には20頭というように、3年をかけて飼育頭数を段階的に減らしていきます。
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また数値基準によって、1頭あたりの飼育スペース(寝床や休息場所となるケージの大きさ)がこれまで以上に必要にもなりました。縦は体長の2倍以上、横は体長の1.5倍以上、高さは体高の2倍以上が必要になります。これは秋山さんの団体にも適用されます。
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(秋山文子さん)
「今まではこれでなにも言われなかったんやけど、この子らの大きさの2倍の高さと長さのケージが1頭に対して必要で。置く場所がないですね、置いてあげられる場所が」
これまでと同じように保護するには新たな場所を借りる必要があり、資金面でも一層厳しくなっていると話します。
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頭を抱えているのは秋山さんだけではありません。20年以上ブリーダー業を営む福栄泰夫さんは、原油高でエサ代が上がるなど支出が増える一方で、法改正に伴う国からの支援制度はなく、立ち行かなくなると訴えます。
(ブリーダー 福栄泰夫さん)
「(今回の法改正は)ちょっと厳しすぎるね。厳しすぎます。(今は)ほとんど儲けはないです。犬のためにはええんかなと思うねんけど複雑。自分がつらいから、苦しくなってきたから」
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犬猫適正飼養推進協議会の「2020年犬猫ブリーダー調査」によりますと、法改正を受けて犬の繁殖業者の約3割が廃業を視野に入れていて、犬や猫約13万頭が行き場を失うといいます。














