長崎県諫早市のガールズバー経営者の男(37)が、風営法違反(無許可風俗営業)の疑いで、16日逮捕されました。容疑は、許可なく女性従業員に客を「接待」させたこと。法律で定められた「接待」にあたるかどうかには、明確な線引きが存在します。どこからがアウトなのでしょうか。

違法な「接待」とは?

警察庁によりますと、「接待」とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されています。

これには、以下のような行為が典型例として挙げられます。

・特定の客の席に同席し、お酌したり談笑の相手になったりする
・カラオケでデュエットをしたり、手拍子や合いの手を入れたりする
・ダーツやゲームなどの遊戯を客とともに行う

たとえば、バーテンダーがカウンター越しに酒を作り、不特定の客と会話することは、飲食店としてのサービスの一環と見なされ、「接待」にはあたりません。

しかし、従業員がカウンターから出て客のテーブル席に行き、隣に座ってお酌を始めれば、それは風俗営業の許可が必要な「接待」とみなされる可能性があります。

今回逮捕された男は、風俗営業の許可を受けないで、少なくとも7人の女性従業員を客のテーブルに同席させ、酒類を提供して飲食させた上、談笑の相手をさせるなどしたとして逮捕されました。

風俗営業の許可は公安委員会から取得する必要があり、店舗の場所や構造、営業時間(原則深夜0時まで)などに厳しい制限が課せられます。

罰則は最大「罰金1,000万円」

風営法は、2025年6月に改正され、無許可営業の罰則は個人の場合、従来の「懲役2年以下・罰金200万円以下」から、「拘禁刑5年以下・罰金1,000万円以下」となり、法人の場合は3億円以下と大幅に強化されました。

ホストクラブなどで横行していた恋愛感情を利用した「色恋営業」や、売掛金回収を口実にした不当な要求などが社会問題化したことが改正のきっかけとなりました。

今回のガールズバーの摘発も、こうした法改正による取り締まり強化の流れにあるとみられます。

利用客も知っておくべき境界線

利用客からの「ちょっと隣に座ってよ」という安易な一言も、結果的にお店を法律違反に追い込んでしまう可能性があります。

法律の境界線を正しく理解し、誰もがトラブルに巻き込まれることなく、安全にお酒や会話を楽しめる環境を守ることが重要です。