出資者への分配金遅延が続く「みんなで大家さん」、行政のずさんな審査が明らかになりました。

 「みんなで大家さん」は、大阪に本社のある不動産会社「都市綜研インベストファンド」が運営する不動産ファンドで、出資者に年利7%の配当にあたる分配金を払うとして、3万7000人以上から2000億円以上を集めました。

 その主力商品が、千葉県成田市の大規模開発「ゲートウェイ成田」でしたが今年7月、出資者への分配金や解約金支払いが遅れ、出資者が返金を求め、大阪地裁に集団提訴しています。

 この「ゲートウェイ成田」を巡り、成田市が開発許可を出す前の審査で不適切な対応をとっていたことが新たにわかりました。この問題を調べている千葉県の土地開発コンサルタント大和田康夫さんは、こう指摘します。

 (土地開発コンサルタント 大和田康夫さん)「(開発許可の前の)都市計画決定がこの事件の原点なんですよ。所有権者の3分の2以上の同意があることが(都市計画決定)申し出の要件なんです。(要件に)達していない申し出を成田市が受け付けたんですよ」

 大和田さんが指摘する成田市の不適切な手続きとは、開発に向けた計画案を進める場合、市の条例とその過去の適用では、地権者の人数の「3分の2以上の同意」が条件とされていますが、ゲートウェイ成田では地権者の半分以下しか同意が取れていませんでした。

 ところが、同意した地権者の中に、開発予定地で複数の土地を所有する人がいたため、土地の区画の数が70%以上あるとして成田市が審査を受け付け2019年4月、計画が決まったといいます。大和田さんは、市の手続きに違反があると指摘し、9月に市は「本来、人数で算定すべきところであり、算定方法として妥当でなかった」と認めました。

 ゲートウェイ成田にのみ不適切な審査をしていたといい、その経緯について、市は「分からない」としていますが、審査が通った時期には土地の売却が進み、地権者の数でも同意は3分の2を超えていたとして、法的には問題ないとしています。

 しかし、大和田さんは成田市の一連の対応についてこう指摘します。

 (土地開発コンサルタント 大和田康夫さん)「この事業の原点は、成田市が『市の街づくり』として(ゲートウェイ成田の)都市計画を決定したことにあるんです。ここで防ぐことができたら(今のような)被害も生じてないんです。被害も防止できた。入り口でこんな無謀な都市計画決定をしてはいけなかった」

 「ゲートウェイ成田」への出資者も…

 (ゲートウェイ成田に1000万円出資した男性)「成田市と合同で(街づくりをし)成田市の許可をとってるという感じじゃないですか。これはそれなら安心だなというのが強くて、個別のマンションとかの物件だったら出資しなかったと思うんですよ」

 MBSの取材に対し成田市は「この件についてはコメントを差し控えさせていただく」と回答しています。

 また、大阪府や東京都は「みんなで大家さん」が9月末に出資者に対して行った解約の提案について、「リスクなどの説明が不十分」などとして具体的に説明するよう、10月14日、行政指導したと発表しました。