「今の時代にアベノミクスでいいのか」
高市新総裁は安倍総理の信奉者で、アベノミクス的な政策を進めると見られているが、2012年の第2次安倍政権発足時と今では「経済状況」が全く違う。

▼実質GDP成長率
【2012年:-0.1%(10~12月期)】
【2025年:0.5%(4~6月期)】
▼消費者物価指数
【12年:-0.1%(12月)★デフレ】
【25年:+2.7%(8月)★インフレ】
▼日経平均株価
【12年:1万395円】
【25年:4万8088円】
▼長期金利
【12年:0.802%】
【25年:1.695%】
▼ドル円相場
【12年:86円74銭★円高】
【25年:151円18銭★円安】
「今の時代にアベノミクスをやっていいのか」と疑問を呈するのは、国際経営論と経営戦略論が専門の入山さんだ。

『早稲田大学ビジネススクール』教授 入山章栄さん:
「アベノミクスの頃は、要するに需要不足だった。なので需要喚起するような財政支援や金融緩和が機能する可能性があったが、今は逆。インフレで円安で、しかも長期金利も上がってきている中で同じ政策をやっていいのか。今むしろ課題になっているのは、『人手が足りず、需要があっても供給が追いつかない』ということ。その【供給不足にどう対応していくか】が大事」
需要ではなく、供給サイドを強化するためには【企業の生産性向上】が必要となるが、そのために求められることは何なのかー
入山さん:
「生産性は、新しい企業がどんどん出てきて、いわゆるイノベーションを起こしていくことがほぼ全て。もっと“競争を激しくして新陳代謝”を起こして、新しいスタートアップがどんどん出てくる必要がある。日本もスタートアップが出てきていると言われているが、開業率はまだ低い」

2021年【開業率⇒4.4%】【廃業率⇒3.1%】
22年【開⇒3.9%】【廃⇒3.3%】
23年【開⇒3.9%】【廃⇒3.9%】
※2025年版中小企業白書より
入山さん:
「開業率を上げるには、時代に合わなくなってきたビジネスを廃業することが大事だが、日本は長い間生産性が低い企業が市場に放置されている。経営者からは、『そんな冷徹なことを…』という意見はあると思うが、ある程度【健全な競争】は必要。そういう意味では廃業率がかなり低いところでとどまってるのは大きな問題」