アベノミクスを継承するなら「第3の矢」

「健全な競争」は「人件費の上昇」につながり、結果「企業の生産性」も上がるという。

『早稲田大学ビジネススクール』教授 入山章栄さん:
「健全な競争があれば、人がだんだん移動するようになるので会社も給料を上げざるを得ない。今は大手企業を中心に会社がお金を溜め込んでいる状態で、それを従業員に還元しないでアクティビストや株主だけに還元している。労働分配率(企業が生み出した付加価値のうち人件費が占める割合)が長い間上がってないのが課題」

<労働分配率>
▼【大企業】⇒47.3%▼【中企業】⇒74.4%▼【小企業】⇒81.5%

※金融業・保険業は除く
※財務省「法人企業統計調査」を基に番組作成

そして、労働分配率が上がらない背景にあるのが「終身雇用制」だという。

入山さん:
「終身雇用は、従業員を甘やかす仕組みではなくて“会社の経営を甘やかす”仕組み。つまらない経営をして従業員の給料を上げなくても、どうせ辞めないだろうと。良い人材が辞めていけば、『経営やばいかも』ときちんと報酬も払って、緊張感のある経営ができる。賃金が上がればそれが消費に回るので会社の生産性も上がっていく。幸か不幸か日本はこれから人手不足なので、今こそ従業員がより高い報酬を求めて、健全な意味で転職をしていくことが非常に重要だと思う」

――目先の需要を刺激する財政政策や金融緩和だけに進むのではなく、骨太の経済政策を打ち出していく時期だと

入山さん:
「アベノミクスも、<企業の生産性向上>が第3の矢だった。これには先程言った構造改革が必要だが、安倍さんも第3の矢まで手をつけられなかったので、高市さんがアベノミクスを引き継ぐのであれば、この第3の矢をやってほしい」

(BS-TBS『Bizスクエア』2025年10月11日放送より)