父が背負った第一発見者の重荷
祖母の第一発見者は、佳代さんの父でした。いつも定時に来るはずのおばあちゃんが来ない。連絡も取れない。心配した父は、佳代さんを車に乗せ、一緒に金峰へ向かいました。到着すると、父は佳代さんを車に残し、一人で家の中を探しました。
それは、佳代さんの母、貴子さん(仮名)から、「佳代と一緒に家の中を探さないでほしい。家の中で倒れているかもしれないから、佳代を車に置いて家の中を探してほしい」と、頼まれていたからです。
結果的に、この判断が佳代さんを現場の惨状から守ることになりました。父は寝室で、手を上げた状態で倒れている祖母を発見しました。
裁判を巡る家族の葛藤

この事件は、裁判員裁判で審理されました。貴子さんは、当時まだ小学生だった佳代さんを、裁判の大部分から遠ざける判断をしました。裁判員裁判で公判の回数も多く、法廷でかなりリアルな内容が丁寧に説明されることが分かっていたからです。
貴子さん
「佳代は正義感が強いので、何か知りたいと当然思うところですけど、その時はまだ小学生だったので。事件について細かい情報を知らず、報道も見ていない状態でいきなり裁判に連れて行って、どんな風に殺されたなんて話を聞かせるのは、ちょっとどうかなと」
しかし判決公判だけは違いました。貴子さんは「死刑になると信じているので、死刑っていうところだけは堂々と胸を張って聞かせてあげたい」という思いがありました。夏休み中だったこともあり、佳代さんは判決を法廷で見届けました。