6年前の10月12日。台風19号は東信地区にも大きな被害をもたらしました。

260世帯が暮らす佐久市入澤(いりさわ)地区では千曲川の支流、谷川(やがわ)が氾濫し、68歳の男性が犠牲になりました。

当時、区長を務めていた渡辺一夫さん73歳。
渡辺一夫さん:「特にひどかったのはこの橋から上流道路がなくなってしまった。1.2キロは崩れていた。想像を絶する」
川沿いでは床上・床下合わせて77件が浸水。渡辺さんは市からの指示を待たずにおよそ200人を小学校に避難させました。

渡辺一夫さん:「(亡くなった)一人の方残念でなりませんけど、それ以上に被害がなかったことは平成11年のゲリラ豪雨を経験したことが生かせた」
地区では1999年8月の豪雨でも谷川が氾濫し、橋が流され、床上浸水が発生するなどの被害が出ました。
当時、消防団長だった渡辺さんは、この時の経験から、危機意識を持ちます。
2007年からは区長を務め、情報伝達に特に力を入れてきました。

常会長から班長へ、班長から班員へ電話をし、連絡がつかない人の家には班長が直接出向くなど、全住民に情報が行きわたるように訓練を重ねました。
渡辺一夫さん:「伝達訓練が大事だったなと思いますし、訓練に参加することによって防災意識を高めていくそこが自分の命は自分で守る(ことにつながる)」
渡辺さんは、高齢化が進む中特に中山間地で集落の近くに避難所が必要だと訴えます。

渡辺一夫さん:「子供たちは外へ出てしまって親だけ住んでいる。高齢化だ、じゃあ避難しろといわれても誰も迎えにこない。車も年取れば危ないから(免許を)返納しろという中で、近くに避難所は必要」