霊園の土の中に母親の遺体を遺棄した罪に問われた男。裁判では“埋葬”にあたるか“遺棄”にあたるかが争点となりましたが、判決は「有罪」でした。

吹田市のアルバイト従業員・蔵田隆一被告(71)は、去年11月に奈良市内の霊園で、母親の蔵田光さん(92)の遺体を土の中に埋めて遺棄した罪に問われていました。

遺体は、土の中から右手首と足の一部だけが出ている状態で見つかりました。

埋められていたのは、自らが所有する墓の区画で、裁判で争点となったのは、死んだ母親を霊園に埋めたことが“埋葬”にあたるかという点でした。

これまでの裁判で蔵田被告側は「生前の母親の意向に沿って、遺体を埋めただけで、遺棄の故意はなかった」などと弁護側は無罪を主張。

一方、検察側は「霊園に申し出もせず、遺体が土の中から露出した状態で、埋葬とは認められない」と指摘していました。

10月10日、奈良地裁は「宗教上の埋葬とはいえず、適切な方法による埋葬をできなかった合理的理由は見出しがたく、刑事責任は軽視できない」などとして、懲役1年2か月・執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。