新人アナ、痛恨の放送ミス
神戸:この本を広げていて思い出したのが、先週のこの番組で、中井さんが体験型リアル脱出ゲームのお話をした時のこと。「小学生ぶり」って、言ったよね?
中井:はい。私自身は覚えていなかったので、それくらい自然に、誤って使ってしまいました。
田畑:10代、20代の方でそういう言い方、最近よく耳にするようになりましたね。
神戸:放送は基本的に「日本語できちんとしゃべろう」と言うのだけど、時代によって変わってもいい、と思います。多分、ちょっと遅れているんですよ。言葉について、放送は保守的だと思います。僕は、その方がいいと思っています。放送でも自然と使っておかしくないようになっていった時、だんだん辞書にも入ってくるのかな、という気もします。ただ、1年くらいでなくなっちゃう言葉はいっぱいあるので、やっぱり、放送は言葉に対して保守的な方がいいんじゃないかな? と僕は思ってるんです。
田畑:僕もそれでいい、と思っています。
神戸:「××ぶり」という言い方は、「××」に数字を入れていくのが基本ですよね。
田畑:期間を表す言葉が入りますよね。
神戸:なので、「卒業式ぶり」のように、数え始める時点が入る言葉遣いはもうおかしいのです。「小学生ぶり」も良くなかったんだけど、先週は訂正する時間がありませんでした。
田畑:どこから始まったのか、起点を言う場合は「××以来」という言葉を使った方がいい。
神戸:ただ、若い世代の人が違和感を覚えなくなってきているのも確かな気もします。例えばこの本に上がってきた例です。
<勝ったのはいつぶりだろう――スポーツ選手のコメントでよくこんな言い方が出てくるが、「第20回大会ぶりですね」などと言ってしまわないように注意したい>(26ページ)
田畑:ああ……「いつぶり」って確かによく聞きますね。
神戸:これは「小学生ぶり」と同じですね。「いつぶり?」「小学生ぶり!」。
<「いつから」と「何年ぶり」を合体、省略してしまったのかもしれない>(同ページ)
中井:ああー……。
神戸:昨日、この本を手に取ったら出ていたので、「あ! 先週の放送でこれあった!」と。
中井:勉強になります。
催すだけならセーフ
神戸:「雨模様」。どういう時に使うか。アナウンサーは習うでしょう?
中井:もうすぐ雨が降りそうな。
田畑:おーそうそう、セーフ!
神戸:よかった、ちょっと今ドキドキしたんだけど。
中井:あはは。
田畑:降っているんじゃないんだよね。降りそうな天気ですね。
神戸:降ったり止んだりしている様子も「雨模様」と言う人が多くなっていますね。「この新しい意味を併記している辞書も増えているが、紛らわしいので天気予報では使わない方がいい」と書いてありましたが、僕が知らなかったのは、なぜ雨模様と言うのか?
田畑:ああ、そこは大事ですよね、確かに。
<元々は「あまもよい」「あめもよい」と言っていた>(10ページ)
神戸:「もよい」はどんな字を書くか。正解は開催の「催」、「催す」。
田畑:あああ、なるほど。雨が来そうだ…
神戸:「催す」わけですね。トイレのことを考えてしまいますが、本当に「降っちゃった」ら大変なことになるけれど、「まだ降っていない」わけですよ。だから「雨もよい」。後から漢字が付いて「雨模様」になったということらしいです。催しているだけで、まだ起きてはない。このうんちくを知っていれば間違わないな、と思いました。