「Tをテーと言うな!」

神戸:『放送で気になる言葉2025』に、「丁字路」という項目がありました。
<近年では「Y字路」や「S字カーブ」など、アルファベットの形状を例えに使うことから、「T字路」と表記し、発音することも増えた。そのため、現在では「丁字路は誤り」と誤解している人もいるようだ>(82ページ)
神戸:中井さんはどっちを使っている?
中井:「T字路」の方が、わかりやすいのかなと思って使うようにしています。
田畑:放送では、本来は「丁字路」なんですけど、それで苦情が来たこともあるそうです。「あの人はTをテーと言うのか?」。
神戸:あはは、「D」を「デー」と言う、みたいな?
田畑:そうそう。「十字路」は漢字じゃないですか。同じように、漢字の「丁」という表記です。
神戸:でも「Y字路」というのもある。この本の中に書いてあったのは――。
<道路交通法には「丁字路」と記述されている。正式な法律用語は丁字路である>
神戸:どっちが正しいかということではなくて、2025年の段階で「こういう経緯でこうなってきたよ」「今こうなってるよ」と書いてあって、面白いなあと思いました。
田畑:大事なのは、本来の意味がちゃんと伝わっているかどうか。Tにしろ、丁にしろ、「あの形ね」と頭に浮かぶことが大事ですね。
「ダントツ」の「トツ」とは?
神戸:「ダントツ」という項目があります。「ダントツ」の「トツ」って何だと思いますか?
中井:「トップ」ですね。
神戸:あ、知ってた? 僕は知らなかったんですよね。
<「断然+トップ」を略した俗語だ。圧倒的に強い、際立っているといった意味で使われる。(中略)「ダントツの最下位」はおかしい>(16ページ)
田畑:おかしいです。「ダントツの1位」もおかしいですけど。
神戸:「トップの1位」みたいな。
田畑:もう、多いんですよ! 「ダントツ1位で」とか、よく聞きます。
神戸:なるほど。
<「ダントツの首位」は意味が重複していることになる。一種の強調表現とも言えるが、違和感を覚える視聴者もいるかもしれない>(同ページ)
神戸:…というような感じで、100ページ余りの薄いブックレットサイズですけど、この本には腑に落ちるところがいっぱい出ていて、面白いです。