一体なぜ?「新規受け付け停止」意向の自治体が急増 当初7⇒月末には27に

 こうした大阪市などの動きと前後して、大阪府は8月下旬、府が管轄する34の市町村に特区民泊についての意向調査を実施しました。

 調査の結果、9月1日時点では茨木市や箕面市など7つの自治体が市内全域での特区民泊の新規受付を停止する考えを示しました。
 ところが、追加の回答や修正を経て、30日時点では、新規受付を停止する考えを示した自治体が27に上りました。1か月の間に20も「急増」した形です。
 「これまで通り実施」と回答したのは関西空港がある泉佐野市と近隣の貝塚市、府東部の羽曳野市の3つの自治体のみ。
 門真市、守口市は「実施可能な地域を制限」、河内長野市は「市独自の規制強化策を検討する」などと回答しています。

府内の自治体 ほとんどが「受け付け停止」 大阪の特区民泊の今後は

 では今後、大阪の特区民泊のゆくえは、どうなるのでしょうか。

 大阪市のプロジェクトチームが公表した資料によると、特区民泊導入前の2015年に大阪を訪れた外国人旅行者の数は716万人で、府内のホテル・旅館などの客室稼働率は85%程度でした。
 一方、2024年には来阪外国人旅行者数が1409万人と2倍に増えたにもかかわらず、稼働率は75%程度に抑制されています。特区民泊が増加したインバウンドの受け皿になっていたとみられます。

 これを踏まえて、市は「特区民泊施設が一定の役割を果たしてきた」と評価しています。

 一方、民泊の施設の数は右肩上がりに増え続けていて、2024年度末の時点で6000を超えていました。苦情の件数はのべ399件にのぼるなど、課題も浮き彫りになっている状況です。

 こうした状況を踏まえての大阪市の新たな方針と、各自治体の動き。新規受付停止にかかわる変更などについては、11月に行われる国との区域会議で協議される見通しです。

 増え続けるインバウンドの受け皿となってきた制度をめぐって、今後どのような展開があるのか。大きな転換点を迎える特区民泊に注目が集まります。