特定の地域で宿泊施設の開業などの規制を緩和する「特区民泊」の制度。これまで、増え続けるインバウンド観光客の受け皿となってきましたが、いま、大阪で大きな転換期を迎えています。 8月に大阪府が各自治体に行った意向調査で、特区民泊の「新規受け付け停止」の考えを示したのは当初は7つの市町でした。しかし追加の回答や修正を経て、さらに20の自治体が新規受付の停止を希望。9月末の時点で、府内の大部分となる27市町村に急増しました。 さらに大阪市ではごみや騒音問題など、相次ぐ苦情を未然に防ぐため、「迷惑根絶チーム」を設立する方針が決まりました。”全国で最も民泊が盛んな街”である大阪で、一体何が起こっているのでしょうか。
全国の9割が集中する大阪市で新たな方針 周辺にも影響か
大阪府内では、43市町村のうち36の自治体が特区民泊制度の対象となっています。中でも大阪市には全国の9割が集中していて、まさに「全国で最も民泊が盛んな街」の様相です。
しかし、その中心である大阪市で、特区民泊をめぐって新たな方針が打ち出されたのです。
特区民泊で騒音やごみ問題などの苦情が相次いだことから、大阪市は今年7月に課題解決に向けたプロジェクトチームを発足。9月30日の会議で、今後一定の周知期間を経て、市内全域での特区民泊の新規受付を停止する方針を発表しました。
問題解決への取組を優先するために新規受付を停止した形ですが、そもそも一時的なものなのか、いつから停止し、いつ再開するのかなどについては今後協議されることになっています。
全国的に突出して特区民泊が盛んだった大阪市の新たな動きは、ほかの自治体にも影響を与えているとみられます。
中核市である八尾市も同じ30日、「地域住民の生活環境や安全・安心の確保を最優先とする」として、特区民泊の新規受付を停止する方針をホームページで発表しました。
同じく中核市の寝屋川市は、8月に「市の目指す良好な住宅都市としてのブランド構築と大きく異なる」として、会見にて新規受付停止を表明していました。