9月30日に日本維新の会が発表した「副首都構想」の骨子案。東京一極集中の是正などを目的とするこの案では、副首都の指定要件として“特別区”の設置などが挙げられていて、維新が大阪で訴えてきた「大阪都構想」の実現が前提になっています。
過去2度にわたり住民投票で否決された「大阪都構想」。そして、今年の参院選で公約に掲げた「副首都構想」。ここに来て「にわかに現実味を帯びてきた」と専門家は語りますが、その背景には少数与党となった自民・公明の思惑も…?
果たして維新は悲願を達成するのか?そもそも“副首都”とは?総裁選がカギに? 政治ジャーナリストの武田一顕氏、法政大学の白鳥浩教授の見解をもとにお伝えします。
「副首都構想」メリット・デメリットは?
副首都構想には、主に3つのメリットがあるとされています。
▼災害時のバックアップ⇒東京で災害・有事などが発生した場合
▼一極集中の過密解消⇒交通・医療機関の混雑などを解消
▼移転先の街の発展⇒副首都の経済発展などを促進
海外でも首都機能を分散させる動きがあります。韓国ではソウルへの一極集中を是正するため、行政機関をセジョンへ移転。エジプトでは、カイロの過密を解消するため「ニューカイロ」の建設を計画しています。
一方、課題やデメリットも。
▼非効率⇒国会・官庁・企業などが分散すると連携が取りにくい
▼莫大なコスト⇒新たに建物を建設する場合など
▼首都衰退リスク⇒機能を移転しすぎて東京が衰退する可能性
専門家の間では、「人口減少が進むなか、副首都を作る余裕があるのか」という意見もあるようです。
副首都に必要な機能は主に3つ。
▼行政 官邸機能
▼立法 緊急時に法律制定できる国会機能
▼司法 最高裁などの裁判機能
加えて、外務省・総務省も最低限必要だとされています。こうした機能の支部を設置するのか、あるいは建物を作るのかなどについて、今から議論が進んでいくということです。