「人生をまた変えられるように…」クローザー争いからのスタート

「過去は過去。前を向いて人生をまた変えられるように、野球にひたむきに取り組んでいきたい」。
今年1月の沖縄キャンプで松山が口にしたのは強い覚悟だった。昨季までクローザーを務めたマルティネスが巨人に移籍。中日で2度のセーブ王に輝いた絶対的な守護神が不在となる中で、クローザー争いからのスタートだった。

シーズンが始まると、竜の9回には松山がいた。3月29日DeNA戦でプロ初セーブを挙げると、最速159キロの剛速球とフォーク、それにピンチでも動じないメンタルの強さで“守護神移籍”の不安はチームからすぐに消え去った。

「彼の良いところは何があっても投げ続ける。打たれようが何されようが投げ続けていた。負けん気の強さが1番いいところ」
松山が八戸学院大時代にコーチを務めた新沼館監督が振り返る。

「負けん気の強さー」。勝敗に直結するクローザーにとって、最も求められる資質だ。新沼館監督は昨シーズンのオフに松山が帰郷した際にこんな言葉も口にしていたと明かした。「マルティネスが抜けて、良い場面で投げさせてもらえる、チャンスだという話をしていた」。