狙いは「売り切り型」からの転換
実験都市「ウーブン・シティ」に秘められた、トヨタの狙いは何なのか?
自動車アナリストの中西さんは、ウーブン・シティに参加する企業を「発明家」(Inventors)と呼んでいることに着目している。

ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト中西孝樹さん:
「新しいものを発明するのは本当にゼロから何かがバッと出てくる。従来の車、あるいは例えば缶コーヒーなどの製品の価値観の殻に籠もらない。その殻を破って、新しいものを生み出そうとしている」
トヨタが目指すモビリティ・カンパニーとその狙いとはー。

中西さん:
「車というものが常時、通信で社会のインフラと繋がる“コネクテッドカー”になること。コネクティッドカーが繋がった先にバリューチェーン(価値が生まれる連鎖)を広げていく。そういった“バリューチェーンで儲けていく”会社がモビリティカンパニー」
これまでの「売り切り型」、“車を売った後に繋がらない”スタイルからの転換だという。
中西さん:
「売り切り型から“保有ベースで稼ぐ会社に変わる”。こういうビジネスモデルに転換することが、トヨタにとっての“モビリティカンパニー”へのモデルチェンジ」
そして中西さんは、ウーブン・シティがトヨタの私有地であることが新たな「メリット」を生むと指摘する。

中西さん:
「人口構成を考えると、日本は若い人より年を取っている人が圧倒的に多い。ウーブン・シティの中に限ってみれば、すごく若くてエネルギッシュで、いろんなことに変化を求めるような人へ人口構成を振ることができる。私有地ゆえに自分たちが選んだ人たちのみが住めるような、“ある意味民主主義ではない”。そういうところだからこそ“中国的なイノベーションを早く起こせる可能性”がある」