人間に攻撃しない?古田所長「良い技術者に出会ったロボットは良いロボットに」
出水麻衣キャスター:
どれくらいの期間、学習させたのでしょうか。
未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
仮想空間では、時間にして大体4~5時間ですが、実世界では十数年分でしょうか。
井上キャスター:
何をどう学習したのでしょうか。

未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
「『階段をのぼる』など、いろいろな動作を仮想空間で学習します」というのは、昔からありました。
今回のロボットは、例えるならば、ペットの猫をジャングル等に置き去りにして十数年後に帰ってきたら、「見たこともない受け身」「見たこともない階段の上り方」みたいな動きを会得した生物に近い考え方です。

高柳光希キャスター:
実際、ボディーを押した際の動きが、衝撃映像などで見る身体能力の高い野生動物のような受け身だと思いました。
未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
よくある、いわゆる「ロボットウォーク」みたいな動きではありません。なぜかと言いますと、今までは人間が数式を解いて動きを作っていたのですが、このロボットは歩く、旋回する、受け身、1個も動きを作っていません。
とにかく、仮想空間にぶち込んで、「いろいろな環境でとにかく動きなさい」「いろいろな環境の変化に対応して動き回りなさい」ということをしていました。時々、気まぐれで何かを喋ることもあります。

井上キャスター:
人間を攻撃するみたいな学習をして帰ってくる可能性もあるのではないでしょうか。
未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
それは多分ないです。
世の中にはいろいろなロボットがありますが、実社会で実際に見たことはないですよね。それは平らな所や、実験場や工場など、あらかじめ分かりきった環境でしか動かなかったからです。このロボットは、いろいろな未知の環境に対応する運動能力にあたる部分を作ったものになります。
人を攻撃するなど、何かするのは大脳の部分になります。大脳の部分はきちんと人間を攻撃しないようにと育てれば、そういったリスクはありません。
犬・猫でいうと運動能力を身につけてきたようなもので、教育して「人間を攻撃してはダメ」「こういうことをしましょう」と、大脳の部分に作り込んだら大丈夫です。

出水キャスター:
良い教育者に出会ったロボットは、人のためになる良いロボットに育っていくということ?
未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
まあ、良い技術者に出会ったロボットは、ですね。
井上キャスター:
悪用されて、その部分が解放されると怖いなという感じもします。
未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
これは技術の常です。どのような技術も悪い人が作ったり使ったりしたら、人を殺す兵器になってしまいます。
技術をいかにうまく利用して、世のため人のために使うか。我々、人間側の課題かもしれません。