政府内で、2030年までにさまざまな状況での活躍が可能な人型ロボットの開発を目指す案が浮上しています。ロボットとの未来について、千葉工業大学、未来ロボット研究センターの古田貴之さんに聞きました。

カメラも感覚もない4脚AIロボット 必ず起き上がるのはなぜ? 

井上貴博キャスター:
千葉工業大学の未来ロボット技術研究センターが“育成”した中国製ロボット(重量約16キロ)。脚が4本あって動くことができ、何度倒れても、どんな倒れ方をしても起き上がるように育てたということです。

未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
ボディーは安いロボットで、オリジナルはあまり動かないのですが、我々が育成した人工知能を入れるとコントローラーで動かすことができます。

このロボットにはカメラがついておらず、階段があることも分かっていません。それにもかかわらず移動できるのは、運動神経が備わっているからなんです。

人間のような運動神経を人工知能で鍛えて、階段などの障害にはその場で臨機応変に対応することができます。私は「前に行って」「横に行って」という指示をしているだけです。

井上貴博キャスター:
この機械自体は中国で売られている量産型の、何の変哲もないロボットです。これを起き上がるロボットにするために「仮想空間で学習」させたといいます。

自分の形状も分からない所から、歩く、登る、つまずく、転倒後に起き上がる、などの動作を学習しました。

仮想空間で学習とはどういうことか。

▼約4000台の分身ロボットをコピー。▼仮想空間は時間を早送りでき、十数年分の学習を4〜5時間で可能。▼学習した運動を1台に集約したということです。

未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
仮想空間で鍛えられているので、「階段から降りる(落ちる)」「ボディーを押される(転がされる)」などでも、オートマティックに対応します。

すべて鍛えられた人工知能による運動能力によって出来ています。そのため、(持ち上げて落とされても)いつの間にか受け身もできるようになっています。

足の裏の感覚(タッチセンサー)も取り外して、カメラもついていない目隠し状態なので、このロボットは人工知能で、なんとなく持ち上げられているということは分かっているに違いありません。そういうことを仮想空間で学習しました。