「重篤な病態を漫然と見過ごした」院長を相手に損賠提訴

飼い主家族は「手術による感染症などのリスクについて十分説明を尽くすべき義務があったのに、それを怠ったうえ、手術後の重篤な病態を漫然と見過ごし、適切な検査や治療を行わなかった。そのことが『るく』の死につながった」と主張。
膝の手術を実施した滋賀県内の動物病院の院長に対し、家族5人1人あたり120万円の慰謝料や、他の病院でかかった治療費など、計770万円あまりの賠償を求めて、9月26日に大阪地裁に提訴しました。

飼い主の男性
「我が家の大切な家族を失い、家族までボロボロにされてしまいました」
「絶対に許すことはできません」
「(ペットも)家族の一員と思ってくれる判決を望んでいる」
動物病院側はMBSの取材に対し、「コメントできない」としています。
ペットの損害をめぐる慰謝料 司法判断の現状は?

飼い主らにとってかけがえのない存在であるペットですが、民法上は「動産」=「物」として扱われます。ペットをめぐる損害について、精神的苦痛に対する慰謝料が認められるケースもありますが、その額は飼い主側が納得できるほど高くはならない現状があります。
大阪地裁では2023年9月、トリミング中にハサミが喉に刺さってトイプードルが死んだ事案をめぐり、トリマーだった男性に対し、飼い主家族3人への賠償を命じる判決が言い渡されました。
しかし、認められた慰謝料額は、“判例の範囲内”。大阪地裁は「購入価格を大幅に超える金額を肯定することはできない」と判断し、慰謝料額を飼い主家族1人あたり12万円=計36万円としました。飼い主側が期待していた、“ペットは物ではなく家族”という旨の言及も、判決文にはありませんでした。
今回の裁判の原告である「るく」の飼い主家族は、こうした現状に一石を投じたいとしています。