院長は“ホームシックだから大丈夫”と説明も…


 訴状によりますと、「るく」が手術を受けたのは今年5月12日。飼い主の男性は院長から夕方ごろに、電話で連絡をうけました。

院長
「手術は特に問題なく、短時間で終了した」
「顔色もよく、CRP(炎症や感染症の指標となるタンパク質の数値)や白血球の数値が上がっているが、他の犬も術後は上がることが多いので、特に問題はないでしょう」

 その後も飼い主側は、病院との間で連絡を取りあいましたが、“元気がなくなってきていて、エサや水を口にしなくなり始めたことから、ホームシックではないか”と説明を受け、退院を早めることでまとまりました。


 そして、手術から3日後の5月15日、飼い主家族が病院に迎えに行くと、「るく」はぐったりと衰弱した様子でした。しかし、院長は「ホームシックだろうから、自宅に帰ったら徐々にご飯も食べるだろう」と、従来の説明を繰り返したといいます。

 CRPの数値は、手術前は0.40と基準値の1.0を下回っていたのに、5月15日には9.30と大幅に上昇していたといいます。

救急病院での治療の甲斐なく… 今でも“お通夜のような状態”


 「るく」の体調は自宅に戻っても良くならず、5月17日にかかりつけの動物病院で検査を行いました。

 すると、敗血症のおそれが高く、小腸に穴があいている気配があり、脾臓に水がたまっていると診断されます。そして、別の救急動物病院での緊急手術を検討すべきだとすすめられ、18日未明に、その病院で緊急手術をうけました。

 「るく」は手術後、一時は立ち上がって元気な様子をみせましたが、再び容体が重篤に。さらに別の病院で治療を受けていた18日午後に、心肺が停止し、蘇生措置の甲斐なく、この世を去りました。


飼い主の男性
「『るく』が家族との幸せな時をおくれたのは、たったの2年半でした。本当なら15年くらいは生きられたはずです」

 「るく」が死んだショックで、飼い主の男性は食事がのどを通らず、体重は10キロ以上減少。うつ病とも診断されました。家族は今でも“お通夜のような状態”が続いていると訴えます。