司会者の発言で番組が一時休止も… 批判的メディアにかつてない弾圧

アメリカで20年以上暮らすジャーナリストの津山恵子さんは、これまでにない言論弾圧が起きていると訴える。

日下部正樹キャスター
「今のアメリカの状況をどう捉えていますか?」

米在住ジャーナリスト 津山恵子氏
「近代アメリカ史の中で、いまメディアの状況は、権力に最大そして最悪の攻撃を受けている状況」

津山さんが特に衝撃を受けたのは、ABCテレビの人気司会者ジミー・キンメル氏が、カーク氏の殺害事件を巡るこの発言で、番組が一時休止に追い込まれたことだ。

ジミー・キンメル氏(15日)
「MAGA派(トランプ支持者)は容疑者を自分たちの仲間ではないことにしようと必死。事件から政治的利益を得ようとしている」

米在住ジャーナリスト 津山恵子氏
「キンメル氏の発言は違法行為に値していないにもかかわらず、政権を批判した、トランプ氏の名前も言っていない。(連邦通信委員会は)放送免許の停止をちらつかせ圧力をかけ、ABCテレビが番組を一旦停止する決断に至ったのは本当に驚き。言論の弾圧に屈した近代アメリカ史の最初の例になった」

言論の自由を守ると声を上げた人たちの力もあり、番組は6日後に再開された。その日の放送でキンメル氏は…

ジミー・キンメル氏(23日)
「テレビで何を言って良いのか悪いのかを、政府がコントロールすることは許されない」

だが、番組再開が決まった後もトランプ氏は強い不快感を示し、訴訟を起こす可能性さえ示唆した。

トランプ大統領のSNS
「フェイクニュースのABCがジミー・キンメルを復活させたのは信じられない。ジミー・キンメルは低い視聴率のまま腐ってしまえば良い」

津山さんは「政権に批判的なメディアに対する圧力が、かつてないほど強まっている」と話す。

米在住ジャーナリスト 津山恵子氏
「非常に危険な状況。外堀が埋まってきている危機感はすごく感じている。私も含めたフリーランスの記者はニューヨークにもたくさんいますが、大きな企業といった後ろ盾がないので、警察に不当に逮捕されたり、海外からの記者の場合、一時帰国をして帰ってくる時にソーシャルメディアで発言していたことを材料に、アメリカに入国できなくなるのではと非常に懸念している」