アメリカの保守活動家、チャーリー・カーク氏。銃撃され死亡した事件以降、トランプ政権によるメディアや批判する人への圧力が強まり、さらに分断も進んでいます。アメリカ社会の現状を取材しました。

チャーリー・カーク氏の追悼式 トランプ氏「敵対者が憎い」分断煽る

歩き続ける人々の奥には渋滞した車列が続いている。歩き疲れたのか、ハイヒールを手に持ち、裸足で歩く人も。目的は巨大なスタジアムで行われる「チャーリー・カーク氏の追悼式」だ。

カーク氏は9月10日に銃撃され死亡。トランプ大統領に近い保守系の政治活動家だ。

村瀬健介キャスター
「ずっと向こうまで行列が並んでいます。さらに、続々と会場に向かう人々が集まってきているのがわかります」

ある男性は800キロ以上離れた町からやってきたという。

村瀬キャスター「飛行機で来たんですか」
男性「いいえ、車で来ました」

村瀬キャスター「どのくらいかかりましたか」
男性「12時間です。過酷でしたが、なんとか着きました」

高校を卒業したばかりの若者の姿もあった。

若い男性
「チャーリー・カーク氏の功績を称えるために来ました。私たちの世代を誰よりも代弁してくれました」

会場のスタジアムは最大7万人以上収容できるが入りきらず、近くに別の会場も用意されていた。

追悼式ではトランプ政権の閣僚らが次々とスピーチし、カーク氏を称えた。会場にはトランプ氏とイーロンマスク氏の姿もあった。

幼い2人の子どもとともに残されたカーク氏の妻・エリカさん。涙ながらにこう訴えた。

カーク氏の妻 エリカさん
「彼(容疑者)を許します。憎しみを憎しみで返してはいけない。愛で応えないといけません」

分断に歯止めをかけるような言葉だったが、トランプ氏は…

トランプ大統領
「過激な左派は非常に危険なことをする。私は敵対者が憎いし、彼らのためになることなど望んでいない。

エリカ、申し訳ないね。エリカやいろんな人が、私に敵の味方をするよう説得するかもしれないが、私は彼らには耐えられない」

「カーク氏のヘイト、もう耐えられない」22歳の容疑者が送ったメッセージ

響き渡る銃声と逃げる人々。カーク氏は10日昼ごろ、学生向けのイベントで講演していたところ、銃撃された。

事件現場となったユタ州の大学に向かった。カーク氏が倒れる瞬間を目撃した学生は…

事件を目撃した学生
「銃声を聞いて、すぐ後ろの建物に逃げ込みました。ひどい光景で、かなり怖かったです。振り返ったとき、チャーリーが倒れていくのが見えました」

事件を目撃した学生
「予期せぬ状況で、とてもショックでした。暴力に訴えるのは正しくありません。とても悲しいことです」

訴追されたのは、同じユタ州に住むタイラー・ロビンソン容疑者(22)。銃撃後、交際相手に対し「カーク氏のヘイトにはもう耐えられない」というメッセージを送っていたという。

ロビンソン容疑者は、1週間ほど前から犯行を計画していたということで、検察は死刑を求刑する方針だ。