“私を論破してみろ”チャーリー・カーク氏とは?
チャーリー・カーク氏
「より良い人生を送りたいなら、できるだけ若いうちに結婚し、多くの子どもを持つべきだ。以上」

31歳だったカーク氏。27日午後3時時点で、インスタグラムでは1300万以上など、SNSで多くのフォロワーがいる。
18歳のときに設立した保守系団体「Turning Point USA」の本部の前では…

村瀬キャスター
「今や聖地のような場所になっています。チャーリー・カーク氏の肖像も飾られていて、花で埋め尽くされています」

十字架をかたどったボードには、メッセージが側面までびっしりと書き込まれていた。
キリスト教福音派だったカーク氏。福音派は人口の4分の1を占め、アメリカ最大の宗教勢力ともいわれる。聖書の言葉に忠実で、中絶や同性愛などに反対する人も多い。
支持者の男性
「チャーリーは道徳的な面で聖書を羅針盤にしていました。チャーリーは彼個人の意見ではなく、神の真理に従っていたのです」
カーク氏は各地の大学でイベントを開き、学生からの質問に答える様子を、SNSなどで発信してきた。
カーク氏「君は保守?リベラル?」
学生「リベラルだね」
チャーリー・カーク氏
「どうしてそう思うようになったか教えて。君たちをいじめたいのではなく、導くために来たんだ。議論を仕掛けられたら応じるけど」
テントには“私を論破してみろ”と書かれている。
人工妊娠中絶で多くの命が失われているとして、ナチスによるユダヤ人虐殺を引き合いに出したことも…
チャーリー・カーク氏
「望まれていないからと言って、大量の命を消し去ることは決して正当化できない。そうしてアウシュビッツ、20世紀最大の恐怖が生まれ、ユダヤ人は『望まれていない』とされたんだ」
学生「中絶はホロコーストだと?」
カーク氏「その通り。実際それよりも悪い」
学生「間違ってる」
「LGBTを受け入れるべきでないのはなぜか」と聞いた学生には…
チャーリー・カーク氏
「自分がトランスジェンダーだと考える人がいることは否定しない。自分は実際より若い、背が高い、金持ちだと思う人もいる。この世には妄想にとらわれた人が大勢いる。妄想にはNO、現実にはYESと言うのが社会の役目だ」
リベラルな考えの学生たちを“論破”することでも支持を得てきたカーク氏。

トランプ氏とはどのような関係だったのか。
アメリカ政治に詳しい 明海大学 小谷哲男 教授
「2016年、トランプ氏が初めて大統領選挙に出たとき、カーク氏はトランプ氏を『本当の保守ではない』と警戒していた。しかし、トランプ氏が当選して以降、急速に政権との距離が近くなった。
2024年(大統領選挙)では、とりわけ若者の保守票の掘り起こしに貢献したと言われている。カーク氏が住んでいたアリゾナ州は激戦州の一つで、カーク氏の貢献によってアリゾナ州でもトランプ氏が勝てたという評価がある」
カーク氏は、大学で学生たちと議論している最中に銃撃され、命を落とした。
ニャシャ・パラザイさん(29)
「彼はあの舗装された場所にテントを張っていました。私がいたのは、芝生との切れ目のところです」
至近距離で事件を目撃した留学生のニャシャ・パラザイさん(29)。アフリカのジンバブエ出身だ。カーク氏に質問する列に並んでいたという。

ニャシャ・パラザイさん(29)
「特に同意できない点を問い質そうと思いました」
ニャシャさんが聞きたかったのは、カーク氏自身の番組での発言についてだ。
チャーリー・カーク氏(2024年1月配信「The Charlie Kirk Show」のrumbleより)
「申し訳ないが、黒人パイロットを見ると、資格を持ってるのかなと思う」
この発言は、多様性などを尊重する社会を目指す取り組みを批判したものだが、人種差別的などとして批判が上がった。

黒人で、パイロットの勉強をしているニャシャさん。カーク氏の死後、深まる分断に強い危惧を抱いている。
ニャシャ・パラザイさん(29)
「飛行機が飛ぶには左右の翼が必要です。この国は、いろんな意見を持つ人たちで築かれてきました。同意できないことについて、知的に言葉で闘うのはいいですが、暴力を肯定する人たちは絶対に受け入れられません。カーク氏の死が緊張を高めるのではなく、鎮めることに繋がってほしいと願っています」