旭川市旭山動物園の、坂東元統括園長は、動物の移動には、様々なハードルがあり「現状では受け入れられる要素はない」としつつも、動物の立場に立つと、相談を拒否することはないと強調します。

旭川市旭山動物園 坂東元統括園長
「絶対に何も拒否する姿勢ではない。札幌市からも正式な形で協力要請は来ていない、JAZA(日本動物園水族館協会)からも来ていない」

ライオンなどの特定動物を引き取った場合、国際条約に則った許可とともに、新たな飼育施設が必要となります。

さらに…

旭川市旭山動物園 坂東元統括園長
「国際的な血統登録だったり個体の来歴とか、国内の動物園でもかなり将来的な事を見越して計画を立てている」


動物の移動をめぐって、坂東さんには忘れられない経験があります。

かつて北海道美瑛町にあった「北海道シベリアタイガーパーク」での問題です。

1980年代初めに開業した民間動物園。

絶滅危惧種のアムールトラなど10数頭が飼われていましたが、ずさんな飼育管理が、国内外から指摘され、そのまま休業に。

坂東さんは当時、調査員として現場を目の当たりにしました。

旭川市旭山動物園 坂東元統括園長
「行き先は見つからず(トラは)終生飼育へ、死ぬまできっちりと責任を持って飼いましょうと」


トラには1頭ずつ「血統書」があったものの、移動の経歴が分からない上、監督する北海道も、施設の検査を12年間怠り、記録が無いことが判明。

トラたちは、結局その場所で一生を終える判断となりました。

ただ、今回のノースサファリの問題は、美瑛町のケースとは異なると坂東さんは強調します。

旭川市旭山動物園 坂東元統括園長
「(運営会社の)土地の利用は、違法かもしれないが、(動物たちの)施設はそれぞれ許可は出ていたと思う。
合法的の部分と違法の部分と何が今回の閉園につながったのか、冷静に見ていく必要がある」