県警に聞く「ワルモン誕生秘話」
「こちらから様々な広報をしても、詐欺がなかなか止まらないのが現実です」
県警・生活安全企画課の釜賀ルミ警視は神妙な面持ちで語った。熊本県内で「異常事態」が起きているからだ。
今年、県内で特殊詐欺の被害が急増。被害総額は8月末時点ですでに去年1年間の2倍以上、約6.6億円にまで膨れ上がっている。
そこで県警は、9月15日の敬老の日を“Xデー”として、県下一斉に集中対策をすると決めた。
そんな中で、民間企業から県警に提案されたのが『ワルモン』の原型だ。
「警察が、悪者をキャラクターとして取り上げるなんて…」
初めは県警内で懐疑的な意見もあった。しかしワルモンの「自ら手口をペラペラ話してしまう」性格は利用できると判断した。
実際、今年の被害者たちの大半が「最近の詐欺の手口をよく知らなかった」と答えていて、何よりも「興味を持ってもらうことが大切」と考えたのだ。
そして、ワルモンは新たな「詐欺対策の顔」に抜擢された。
ワルモンは「ヒーロー」なのか?
釜賀警視は、自称詐欺師というマスコットの在り方として「決してヒーローには仕立て上げない」と強調する。
「警察が悪者をヒーローにする、ということではありません。人気者にしたいという訳でもない。詐欺の手口を広めるためにも、より『目に留まりやすい形』を探しました。それほど現状は深刻ということです」
また、県警のシンボルマスコットである子グマの警察官『ゆっぴー』との扱いにも一線を画する。
例えば2体が同時にイベントに登場した際には、ゆっぴーがワルモンの腕をつかんで見張っていた。
他にもワルモンの新衣装として警察官風の帽子を検討したことがあったが「ゆっぴーと見た目が似てしまう」として見送った。
あくまで警察官の仲間としては容認せず、監視対象とする考えだ。
一方、ワルモンは10月に入り「オレ様キャラ」でSNSデビューを果たすなど、活動の幅を広げている。
アンチヒーローとしてのワルさと、マスコットとしての憎めなさ。県警はそのかじを取りながら、詐欺の手口もろ共、認知度の向上を目指していく。
ところで…
当のくまモンは、「そっくりさん」の登場をどう思っているのだろうか?
RKK熊本放送の取材に、くまモンはこのようにコメントしている。
「ボクに似ているっていうひともいるかモン!?みんなもワルモンに気を付けて欲しかモン☆」













