警察庁によると、今年7月と8月に全国で発生した山岳遭難は、発生件数、遭難者数いずれも統計が残る1968年以降で過去最多となりました。

東京消防庁の山岳救助隊、その過酷な訓練に密着しました。

「メインロープ赤?」「白が?」救助活動訓練で“大きな課題”

取材したのは、奥多摩や八王子など、4つの消防署に配置されている東京消防庁の山岳救助隊です。技術力を統一するため、資格化されました。

現役の消防官たちが、資格取得を目指し、7日間にわたる訓練を受講します。

この日は、滑落した人の救出を想定した、最も本番に近い訓練が行われました。

整備された登山道を離れ、要救助者までの安全かつ最短なルートをたどります。

今回の訓練のポイントについて…

東京消防庁 渡邉政人 教官
「自分の行動だけに集中しないで、仲間や隊長の声にしっかり耳を傾けて、よりそれぞれが連携して活動ができるようなところ」

隊員どうしで声をかけあうことで、救助活動がスムーズにいき、さらに救助中に起こり得る事故も防ぐことができるといいます。

すると、「要救助者、発見!」との声が辺りに響きます。先に着いた隊員が要救助者の元へ。

しかし、その場所は油断したら滑り落ちてしまいそうな急斜面でした。

訓練生
「堀井主任、要救助者、移動不能」

すぐに体制を整える隊員たち。担架をおろすため、木にロープを巻き付けていきます。

今回の訓練のポイントでもある「コミュニケーション」をとるため、隊員の大きな声が響きますが…

教官
「メイン(ロープ)とバックアップ(ロープ)伝わってる?下に」

訓練生
「メイン(ロープ)が赤」
「メイン赤?」
「白がバックアップ(ロープ)」
「メインが赤?」

普段は別々の消防署で活動する隊員たち。いつも通りとはいきません。

東京消防庁 渡邉政人 教官
「上と下の連携というところで、さっきロープの使う色が違った部分がありましたので、そこはやはり共通認識を持てていなかったというのが次への大きな課題となります」