賃金停滞の要因は非正規雇用の拡大
賃金が伸び悩む要因として、加藤氏は非正規雇用の拡大を挙げる。正規雇用が主流だった30年前に比べ、現在では雇用全体の約4割が非正規となっている。正社員の平均時給が2100円であるのに対し、非正規労働者は1500円にとどまる。
加藤氏は「バブル崩壊後、企業はコスト削減のために正社員を非正規に置き換え、利益を確保してきた。企業、政府のねらいとしては“成功”し、その結果、日本の給与水準が低く抑えられた」と指摘する。
特に、以下の業種で非正規の割合が高い。
• 小売業: 730万人のうち約4分の3(女性が6割)
• 飲食業:約8割(学生アルバイトが最多)
• 介護:全体では約半数。訪問介護では7割以上(女性が8割以上)
• 保育: 約4割
さらに行政でもDV、児童虐待など相談業務が増え、その多くに非常勤の公務員が従事しているという。