毎日放送が放送した奈良公園のシカをめぐる特集について、奈良県は報道内容に問題があるとして、BPO=放送倫理・番組向上機構に申し立てをしていましたが、BPOは「放送内容に問題はない」とし、奈良県の申立てを取り上げないとの判断を明らかにしました。

 毎日放送は今年6月、報道情報番組「よんチャンTV」のなかで、奈良県が進める奈良公園の植栽計画によりドングリの木の一部が伐採されることで、シカの生態系に影響を与える可能性がある、という内容の特集を放送しました。

 放送ではシカの研究者と県知事や担当者の主張を取り上げましたが、山下真知事は9月3日の会見で、研究者と県の間に対立関係があるかのように描かれているのは事実と異なる、などとしてBPOに申立書を送付していました。

 一方、毎日放送は報道内容には問題はない、との見解を示していました。

 BPOの放送倫理検証委員会の小町谷育子委員長は12日、委員会後の記者の質問に対して「番組の本編自体には、委員の誰一人として問題があるというふうには思わなかった」と話したうえで、奈良県に色々な意見が来て対応を迫られるような不利益はあったかもしれないが、放送自体を(BPOで)取り上げるべきではないと考えていると話し、BPOとして、奈良県の申立てを取り上げないとの判断を明らかにしました。