◆《世界史を担当する高校教師から…路上マジシャンへ転身》

大阪で生まれ育った加藤さん。幼いころから、人を驚かすマジックが好きだった。

大学を卒業後、世界史を教える高校の教師になったが、どこか違和感を拭えなかったという。

ストリートマジシャン 加藤竜平さん
「当時は23歳で、生徒とは年齢では5~6歳の差。みんな“Ryuhei”と呼び捨てにするくらい距離感が近すぎて。教員として、一人前と言えるには乏しかったものですから…」

加藤さんはほどなくして教師を辞め、独学したマジックと共に、旅に出た。

訪問先は、ネパールの孤児院であったり、シリア内戦を逃れた難民キャンプであったり、困難に直面する子どもたちの前に立って、その心を和ませてきた。

世界各地で笑顔と触れ合うようになり、6年になる。

◆《対立が続くマチから“リアルな日常”をSNSで発信…身の危険も》

世界各地で、今も紛争が絶えない。パレスチナ自治区のベツレヘムを訪ねたのは、今年3月のことだ。

ストリートマジシャン 加藤竜平さん(Instagramより)
「こっちは(ユダヤ人の)入植者がたくさんいる、壁の向こうがアラブ人たち…」「この通りも、昔はパレスチナの商店が並んで賑わっていた。だけれど、ことごとく閉鎖されて」

紛争と対立が続く現地で、厳しい現実を記録して、SNSを通じて発信している。

旅先では、現地で交流が生まれた人の家に招かれることが多い。加藤さんは可能な限り、滞在費を抑えながら、旅を続けている。ただ、紛争地や政情が不安定なマチでは、危険とも隣り合わせだ。アフリカのある国では、旅先の村でパスポートを取り上げられ、地元の警察に拘束される事態にも見舞われた。