今月、宮崎県で豚熱に感染した野生のイノシシが見つかった中、12日、鹿児島県は宮崎に隣接する霧島市と曽於市で野生のイノシシにワクチンを緊急散布しました。県内の畜産農家では消毒を強化し、警戒を強めています。
(農研機構・平田滋樹上級研究員)「この上に餌を撒く、隠れるようなかたちで…」
霧島市では12日、野生イノシシに緊急散布するワクチンについて、県や市の職員らを対象とした説明会が開かれました。
「豚熱」は、豚やイノシシがかかる病気で、人には感染しませんが、強い伝染力と高い致死率が特徴です。

県境からおよそ3キロの宮崎県都城市御池町では、先月30日に死んだ野生のイノシシ2頭が見つかり、豚熱の感染が確認されました。隣接する霧島市と曽於市には8つの養豚場がありますが、県によりますと、今のところ異常は確認されていないということです。
12日は、感染したイノシシの発見地点から半径12キロ圏内の霧島市と曽於市のあわせて31地点で、県がワクチン入りの餌760個を散布しました。県内での散布は初めてです。
(農研機構 平田滋樹・上級研究員)「発生リスクを抑えるために環境中の豚熱ウイルスを低減させる。ワクチンを散布してイノシシに抗体を持たせる」
一方、霧島市の養豚場では、農場に消毒用石灰をまき、野生のイノシシが入らないよう柵の点検も毎日欠かさずしています。
(鹿児島渡辺バークシャー牧場 山田久治社長)「(野生イノシシが)いつ入ってくるか、毎日びくびくしながら作業している。怖い病気だから、一層徹底して毎日の管理に努める」
養豚場では油断のできない日々が続いています。