高知県香美市の川で行方不明者を発見した県警の警察犬が表彰されました。活躍の裏には日々の訓練で培われた人間との固い絆がありました。

筋肉質な体と凛々しい顔つき。表彰を受けたのは県警・鑑識課に所属する警察犬、ジャーマンシェパードのオス「リュウ」4歳です。

「リュウ」は2025年6月、香美市香北町の川で釣りに出かけたまま行方不明になっていた高齢男性の捜索活動に参加。岩場で動けなくなっていた男性を発見しました。

(県警 鑑識課 警察犬係 筒井仁詩さん)
「岩を飛び越えながら一生懸命行っていたので、リュウが大体足場の悪いところをずんずん進んでいく時というのは見つけている状態が多いので『これは見つけてくれているな』と僕も確信をもって一緒についていった」

表彰式ではリュウと一緒に捜索にあたった県警・鑑識課の筒井仁詩さんに賞状が手渡され、リュウにはおやつが渡されましたが…。

(筒井さん)
「よし!・・・あまり好きじゃない?」

警察犬の活躍のために重要になってくるのが日々の訓練、そして人間との絆です。県警には鑑識課の直轄警察犬と民間の嘱託警察犬、合わせて9匹の警察犬がいて、高知市布師田の訓練所では直轄警察犬が匂いの選別訓練などに励んでいます。

(県警 鑑識課 警察犬係 筒井仁詩さん)
「毎日同じ訓練をするんですけど、内容を変えていってマンネリ化しないようにというところと、『この人は何をするか分からない』というような楽しい気持ちで訓練できるように心がけています」

警察犬の特徴の一つはすぐれた嗅覚。人間の3000倍から6000倍と言われています。そこで、警察犬の能力を証明する実験をしてみました。ハンカチについた人の匂いをもとに、箱の中に隠れた人を探します。広い敷地内でリュウは見つけることができるのでしょうか?

お見事!すぐに箱に駆け寄り、隠れていた人を見つけました。

警察犬はこのような訓練を鑑識課員やトレーナーと現場に出られるようになるまで1年から2年、現場に出てからもほぼ毎日重ねます。このため警察犬には「勇敢さ」に加え「人間と一緒に訓練を頑張れること」が求められます。そしてそれは人間側も同じです。

(県警 鑑識課 警察犬係 筒井仁詩さん)
「訓練ももちろん大事なんですけど、ふだんからオフのときにいっぱい遊んであげたりとか、不安そうにしているところで『大丈夫、大丈夫』というふうに自信をもって声をかけてあげたりして、一緒に寄り添ってあげるということをずっと繰り返していくと『この人といたら安心できる』、『この人の言うことだったら信じて大丈夫だな』と思ってくれるようになっていきます」

すぐれた嗅覚で人命救助や事件解決に貢献する警察犬。リュウたち9匹はこれからも日々の訓練と信頼関係を武器に県警の一員として現場の第一線に出続けます。

(県警 鑑識課 警察犬係 筒井仁詩さん)
「出動する現場に関していうと同じ現場はひとつもない、常に新しいことをやっている状態なので、日頃の訓練にも新しいことをどんどん取り入れていって、どんな現場でも対応できるようにして県民の皆様に恩返しできたらなと思います」