2人が海で死亡した事件、“創造主”をかたる占い師の音声データが残されていました。

 「お父さんがよく将棋会館に連れて行ってくれて。とても大切な人でした」

 亡くなった父親との思い出を語る男性。男性の父親だった寺本浩平さん(当時66)と米田一郎さん(当時51)の2人は5年前、和歌山県広川町の海で死亡しました。2人は互いに手首をマイクコードで結ばれた状態で、自殺をそそのかされたとされています。

 事件の背景にあったとみられているのが、“創造主”をかたる占い師による洗脳です。

 自殺をそそのかした罪に問われ自らを“創造主”とかたった占い師・浜田淑恵被告(63)と、その信奉者だった滝谷奈織被告(59)。この2人が、自殺を手助けした罪などに問われています。

 関係者によりますと、死亡した寺本さんらは2008年ごろから浜田被告の信奉者となり、献金などをしていました。2020年、浜田被告は「私の交際相手に悪いものがとりついた。正常な状態に戻すためには死んで魂になり、神のシステムを破壊しなければいけない」などと提案。滝谷被告を含む4人で海に入り寺本さんと米田さんの2人が死亡しました。

 寺本さんは浜田被告と関わり始めて以降、様子が変わったといいます。

 (寺本浩平さんの息子)「まるで僕のことなんか知らないようで、見向きもしないような感じでした。とてもつらい気持ちになりました」

 弁護側は10日、別の被害者から提供された事件後の浜田被告らの会話の音声を公開しました。

 (事件後の浜田被告らの会話)「前までここに(寺本)浩平、(米田)一郎がおったんだよ。死んだよ、浩平、一郎。全部私がやった。すごいお仕事終えたから『もういいよ。楽になれ』と言ったんだよ」

 さらに自殺を手助けしたとされる滝谷被告との会話では…

 (浜田淑恵被告)「奇跡の生還をあなたも果たしました」
 (滝谷奈織被告)「はい、死にかけてたんですけど」
 (浜田淑恵被告)「ひとつ間違ったらこいつも死んどりました。上手に2人だけ、はい、残しました。今までもいろんなことをやってきたけどね、この世で殺人をすると、いやいや、やってないやってない」

 こうした発言について死亡した寺本さんの息子は…

 (寺本浩平さんの息子)「本当にひどいと思います(父の死を)軽々しく言わないでください」

 父親の形見は亡くなった時に身に着けていた1枚のハンカチだけだといいます。

 (寺本浩平さんの息子)「とてもつらくて、ハンカチを見る気持ちにはなれないです」

 警察の調べに対し、浜田被告は、「遺書があれば単なる自殺で終わると思った」などと供述していたということです。

 浜田被告の裁判は今後始まる予定です。“創造主”をかたった被告は法廷で何を語るのでしょうか。