「血液が専門でもこれまで出会ったことはない」

(愛媛大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部長 山之内 特任教授)
「中学や高校の遺伝の授業で習ったと思いますが、AB型とO型の人からは、A型もしくはB型しか生まれません。ところがcisAB型の人はO型の人との間にcisAB型とO型が生まれてくる。なぜならcisAB型の遺伝子にО型が隠れているから。」

血液型を決める染色体にはAB型の場合A型とB型がそれぞれ1つずつ存在しますが、cisAB型は遺伝子の変異により1つの染色体にA型とB型2つの情報がのってしまう(AB/O)という稀な遺伝子型になります。

そのため、ふつうはAB型とO型の親からそれぞれ1つずつ遺伝子を受け継ぎ、A型もしくはB型の子が生まれますが、親がcisAB型だと子もcisAB型またはO型が生まれてくるのです。

その事情を知らず、普通のAB型だと思っていたのにありえない血液型の子どもが生まれてきて、“一体、誰の子なんだ”と家族間でトラブルになることもあるんだとか。